私家版 差別語辞典 上原善広著

私家版 差別語辞典 上原善広著

路地(部落)に育ち差別の現実を直視してきた著者による自らの体験と取材、差別語の来歴、背景、評価が紹介され、個性的な主張がなされる。「同和」「穢多(えた)」などの路地関連、「めくら」などの心身障害関連、「土方」など職業名、さらに「外人」「支那」など多くの言葉が俎上に載せられるが、人を差別する言葉が苦くて重い歴史を持つことをあらためて知らされる。単なる「辞典」に終わらず、差別関連のルポ数編が挟み込まれていてそれも興味深い。

組織的糾弾に辟易したメディアはお詫びと自主規制、言い換えを続けてきた。だが著者は過剰な自粛には批判的で、どのような文脈や意図で使われたかが重要だと主張している。言葉狩りが行きすぎると、政治的言い換えと事なかれ主義、くぐもった陰湿な差別が生まれるだけで、使って構わない差別語もあるという。欧米の差別語についても知りたくなるのはともかく、差別の本質が深く追究され説得力十分だ。(純)

新潮社 1260円

  

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