東電、予定調和の茶番、誰が為の株主総会か

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その後も株主による修正動議や質問が殺到するが、開始から約6時間後、勝俣会長は「審議も尽くされたと思うので採決へ」と依然、多くの株主の手が挙がる中で、またも強引に採択を急ぐ。結局、3号議案もあっさりと否決され、そのまま閉会宣言。納得のいかない株主が「ひきょう者!」と声をあげるが、経営陣は背中を向けて壇上を後に。

東電史上最長、6時間以上にも及んだ株主総会にもかかわらず、経営陣は終始想定問答にそった答えをオウム返しするばかり。対して、質問した株主の中には名古屋や新潟など遠方から訪れた人も多く、話しながら徐々に興奮し、最後には絶叫するほどに経営陣に対する疑問や怒りが爆発するほどこの日への思いが強かった。

終盤、父親の代からの株主という女性が「老後資金、遺産をほぼ失ったのはショック。でも、福島の人たちはすべてを奪われた。株主として責任を感じている。これからも応援するので原発以外のものに、知性、教養、技術を生かして新しい電力の形を示してほしい」と話すと、会場からはこの日一番の拍手がわきあがった。感情のない謝罪と回答を繰り返した東電経営陣に大株主だけではなく、少数株主の声は一体どれだけ響いたのだろうか。

(倉沢 美左 =東洋経済オンライン)

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