不動産の現物市場は過熱し局地バブルも J-REITは利回り低下で再編本格化

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投資家は投資対象を拡大、REITの再編始まる

そうした中で、投資家の評価基準も変わってきている。これまで、信用格付けの高いREITが人気だったが、そうしたREITは価格が上がって、利回りが低下している。また、老舗のREITは不動産の現物価格が高くなったことで、ガツガツと物件を買わなくなっており、あまり成長しないとみられている。そこで、上位の銘柄から格付けの低いREITに投資対象が移っている。

REITの財務内容は中堅どころでもあまり問題がないという見方が投資家に浸透してきて、これから伸びると見られるホテル関連や、従来は正体がわからないとして敬遠されていた外資がスポンサーのREITが人気化している。無格付けのREITも買われている。金融機関などの投資家の間でも4%の利回りが得られる私募REITに対する評価が高くなっている

J-REIT指数は表面的には横ばいだが、REITの中身はずいぶん変わってきている。物件取得が難しくなり、成長しづらくなるという予想の下に、REITは大きな変革の時期に入ってきている。不動産現物市場が先に過熱してしまい、REITはこれにどのように対応したらよいか試行錯誤している。そこでスポンサーの交替が多く、買収や合併も始まっている。J-REIT市場で存在感を示すには3000億円が必要で、これが分水嶺だ。

茨木 裕 東洋経済 記者

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いばらき ゆたか / Yutaka Ibaraki

1975年生まれ。「週刊東洋経済」編集部所属

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