1カ月で5%痩せた高齢者「低栄養」が恐ろしい訳 半年で10%減も注意、BMIと併せてチェックを

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中年時代より体重が減ると、思わず喜んでしまいそうですが、実は落ちたのは脂肪ではなく筋肉ということがよくあります。太ったまま高齢になった人は、「サルコペニア肥満」に移行しやすいのです。

「サルコペニア肥満」の人の栄養状態は「過栄養」で生活習慣病のリスクが高い中年と似ていて、生活習慣病のリスクも高い状態です。ただし高齢者の場合は、生活習慣病以上に、「脂肪が増えて、筋肉が落ちている」ことから、日常の活動に支障をきたし、さらなる筋力や運動機能の低下をまねき、要介護状態につながる原因となることのほうがより問題と考えられています。

このサルコペニア肥満は、医学界ではこれから日本における診断基準などが発表される予定の、まだ比較的新しい概念です。

とはいえ、栄養の現場を見渡してみると、その状態にある人はすでに多くいて、コロナ禍のもとで活動が低下し、体重が増えた人も多かった影響で、サルコペニア肥満の人も増えた印象をもっています。

低栄養と過栄養。真逆のようですが、高齢期にはどちらも「フレイル」「要介護」につながる原因となり、健康寿命を縮める直接的な原因になります。

どちらも、食事の内容や量の変化による「栄養不良」、代謝に障害を起こす「栄養障害」と呼ばれる状態です。

栄養が機能しなくなると、いのちを保つために体内で営まれるさまざまな「生体内化学反応」が停滞するため、病気になりやすく、病気やけがが治りにくくなって、いのちの危機につながります。

ひと月で何㎏やせたら心配すべきか?

高齢の人の低栄養の危険を見つける目安は次の2つです。

・体重が6カ月間で10%ほど減少(または1カ月で5%以上、3カ月で7・5%以上)

・BMIが18・5未満=「やせ」の範囲である(これより下がるほど死亡率は高くなる)

体重の変化とBMIでリスクがあるのがわかったら、病院で受ける血液検査で血清アルブミン値、コレステロール値、ヘモグロビン値などを調べ、診断を受けましょう。

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