「半導体ウェハー2強」信越とSUMCOで株価に明暗 2023年上昇率は信越が70%超、SUMCOは19%

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まず両社で大きく異なるのは、現在低迷しているウェハー需要の回復見込みの時期だ。

2022年の秋口から調整局面に入った半導体市況。半導体メーカーや大手製造受託会社の売上高はすでに底を打ち、前年同期に迫る水準まで上向いている。

ただ材料となるウェハーは、半導体メーカーがある程度の在庫を抱えておけるため、好況時も不況時も市況の波が遅れてやってくるという特徴がある。足元で半導体メーカーの在庫はかなりの高水準にあり、信越、SUMCOともに直近の2023年7~9月期決算までの売上高は減少傾向にある。

メモリー向けの回復時期に差

2024年内には、両社ともに半導体の売り上げ回復に伴ってウェハー需要の回復を見込んでいるものの、そのトーンは異なる。とくに違いが際立つのが、ウェハー市場の約6割を占めるメモリー向けだ。

信越は「ロジック向け、メモリー向けともに今年後半からは回復が期待できる」と説明する。SUMCOもロジック向けでは今年後半からの回復を見込む。ただ、「メモリー顧客向けは年内いっぱい厳しい」(同社の橋本眞幸会長)との見方だ。

こうした違いはどこから来るのか。要因の1つとして、野村証券の岡嵜茂樹アナリストは売り上げ構成に着目する。「SUMCOは韓国のサムスン電子向け売り上げが比較的多いのに対し、信越のメモリー顧客はバランスが取れている」(岡嵜アナリスト)。

2024年のメモリー市場で注目されているのは、高性能半導体に搭載されるHBM(高帯域幅メモリー)と呼ばれるメモリーだ。メモリー市場全体に占める割合は多くはないものの、AI半導体をはじめ高性能半導体のニーズが拡大するにつれて、HBM需要も急激に高まっている。

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