無印良品、課長以上は「朝8時」から挨拶当番! 「奇跡のV字回復」を支えた社風改革

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良品計画の本社廊下に貼り出されている「基本活動」の紙。エレベーター内には、個人名が書かれた「挨拶当番表」も貼られている。

松井:挨拶はコミュニケーションの基本で、それができない組織は、何をやってもダメですからね。また、いくら新人研修で挨拶を徹底させても、配属先の店長や本部の課長ができないと意味がありません。それで、課長職以上に「挨拶当番」を義務づけました。

遠藤:なるほど、管理職から「挨拶当番」を始めたわけですね。松井さんは、社長時代から「挨拶当番」をしていたんですか。

松井:もちろん、当時は私も週1回やっていました。当時は、本部の課長職以上の3人が交代で、自分たちから社員に挨拶をしていました。

遠藤:社員の反応はいかがでしたか?

松井:それまでの社風がしみ付いていた人の中には、挨拶ひとつでも抵抗する人はいました。「小学生みたいなことを始めたぞ」とか、「なんだか堅っ苦しいな」とかね。社員550人中、当初、挨拶しなかった社員は2人でした。

社風改革は組織に「新しいクセ」をつけること

松井忠三(まつい ただみつ)良品計画前会長。1973年、西友ストアー(現・西友)入社。1991年、良品計画に出向。代表取締役社長、代表取締役会長を歴任。

遠藤:その挨拶しなかった2人の社員は、どうしたんですか?

松井:強制はしませんでした。その代わりに、その2人の直属の上司を挨拶当番にして、自発的に挨拶をさせるようにしました。こういう取り組みは、会社が強制すると失敗します。それに、小さなことから社員一人ひとりにしみ込ませないと、社風なんて変えられませんから。

遠藤:あえて言葉にすれば、「組織に『新しいクセ』をつける」といった感覚ですか?

松井:そうですね。その後も続けていると、社員たちにも「朝から挨拶すると気持ちいい」という感覚が生まれてきます。すると、社内で取引先の方々と出くわしても、自発的に挨拶するようになっていきました。

遠藤:続けているうちに、社員たちがその効果を実感して納得すると、「新しいクセ」が現場に定着し、それが社風になっていくわけですね。

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