冬場の「浴室での突然死」を防ぐ超シンプルな方法 大切な家族を守るための「血流改善」習慣とは

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私のおすすめは、断然ぬるめです

ぬるめの湯温とは、冬なら40℃、夏なら38℃。一方、41℃以上が熱めの湯温です。

体が疲れているときは、ぬるめのお湯に10分ほどゆっくりつかりましょう。

これで副交感神経が働き、末梢血管が拡張。入浴から5分経過すると、白血球、リンパ球、がん細胞を倒すNK細胞など免疫力を支える免疫細胞が増えることがわかっています。

もちろん、血流も整い、体のすみずみまで栄養と酸素が行き届き、疲労物質も回収・排出されるので、疲れが軽くなります。

第二の心臓を動かす「足先クイクイ体操」

みぞおちまでの湯量、ぬるめの湯温と入浴時のポイントをお伝えしてきましたが、最後に、お風呂でできる「血流アップ体操」をご紹介します。

その名も、「足先クイクイ体操」

湯船につかり、足を伸ばして(伸ばせない浴槽なら、入浴後に行ってもOK)、つま先を上、前、上、前と、クイ、ストン、クイ、ストンと前後に10回ずつ動かします。

そうすると、すぐに「第二の心臓」と言われるふくらはぎの筋肉がググッと動いているのを感じるはず。温まり、血流のアップしている体に対して、さらなる刺激を加え、すっきりと疲労物質を洗い流す効果が期待できます。

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ちなみに、この「足先クイクイ体操」には中高年の女性に多い「深部静脈血栓症」を予防する効果があります。深部静脈血栓症は、別名「エコノミークラス症候群」と呼ばれ、亡くなる方も少なくない怖い病気です。

飛行機や自動車などの狭い座席に長時間座り、立ち上がって歩き出したときに呼吸困難に襲われ、倒れてしまう。飛行機の乗客だけでなく、タクシードライバーなど、座りっぱなしの状態が続いた方が多くこの症状に見舞われています。

同じ症状は、手術後に入院する場合があるICU(集中治療室)でも発生しやすく、医療関係者は大いに注意を払っています。特に、しばらく寝たきりで過ごす患者さんの足には、電動でふくらはぎをもみあげていくフットポンプと呼ばれる機器を取りつけることも。

血液がスムーズに流れることは、体にとってそれだけ大切なことなんです。

富永 喜代 富永ペインクリニック院長、医学博士、日本麻酔科学会認定麻酔科指導医

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とみなが きよ / Kiyo Tominaga

地方の漁師町、7人家族で育つ。麻酔科医として456gのベビーから100歳以上の高齢者まで、1日平均12人、のべ2万人を超える臨床実績を積む。「地方に最新医療を」という志を持ち、愛媛県松山市で開業。臨床医学、東洋鍼灸医学、運動療法を組み合わせた独自のメソッドによる治療が話題となり、全国から患者が訪れる。『おはよう日本』(NHK)をはじめTV等のメディア出演多数。著書は『血流がすべて 血流コントロールの名医が教えるわずか1分でできる「すごい血流改善法」』(アスコム)など累計95万部。YouTube『女医 富永喜代の人には言えない痛み相談室』の登録者数は25万人に上る。

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