中国の不動産危機が「消費」や「雇用」に及ぼす影響 全国不動産販売額のピークは2021年の18兆2000億元

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4. 地方政府の収入減

不動産セクターの低迷で、地方政府の土地使用権売却収入は減っている。財政省のデータによると、こうした収入は22年に23%減少し、今年1-11月には前年同期比で18%減った。住宅市場を支えるため21年に始めた売却規制緩和はあまり寄与していないようだ。

21年のピーク以降、土地・不動産活動からの政府収入は、不動産関連税を考慮すると3兆1000億元も減少している。地方政府の債務増加懸念から、中央政府は今年、年度途中で異例の予算修正や1兆元の国債増発を決め、財政出動で刺激策を強化した。

5. デベロッパー債消滅

政府が20年に不動産セクターの借り入れを制限するいわゆる「3つのレッドライン」政策を導入するまで、高リターンながらデフォルトが極めてまれなデベロッパー債は中国で最も人気のある債券取引の一つだった。

中国のオフショア投資不適格(ジャンク)債は、そのほとんどが不動産開発会社によって発行されたもので、12-20年には年平均9%を超えるリターンを記録した。

だが、この市場は今や完全に死んだも同然だ。20年以降、デフォルトは増加の一途をたどり、今月11日現在で1330億米ドル(約18兆9000億円)に達し、オフショア投資家がこうした損失のほとんど全てを被るはめになっている。

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