アフリカで爆売れスマホ「世界5位に躍進」の衝撃 スマホ市場が縮小する中でなぜ伸びているのか

拡大
縮小

市場調査会社IDCによると、2022年7~9月のアフリカ市場の出荷台数はフィーチャーフォンが同20.1%減の2440万台、スマートフォンは19.8%減の1780万台。同年10~12月はフィーチャーフォンが前年同期比16.2%減の2270万台、スマートフォンが17.8%減の1760万台だった。

IDCはナイジェリア、南アフリカの2大市場がふるわなかったほか、輸入規制などでエジプト市場が壊滅的なダメージを受けたと分析した。

伝音の業績や市場調査の分析から、アフリカ市場には大きな機会とリスクが存在することがわかる。世界のスマートフォン市場は成熟ステージに入っているが、アフリカではフィーチャーフォンの販売台数がスマートフォンを上回っており、買い替え需要の拡大が期待できる。

一方、経済基盤が脆弱なため先進国に比べて外部環境の影響を受けやすく、アフリカ市場に依存する限り、伝音の成長も不安定になってしまう。IDCによるとアフリカのスマートフォン市場の8割超を200ドル未満(約2万9000円)のローエンド製品が占めており、ハイエンドへの移行も容易ではない。

南米で躍進、初めて世界トップ5に

もちろん伝音もアフリカ依存のリスクは以前から認識しており、2015年にインドネシア、翌2016年にインドに進出するなど、今では新興国を中心に70カ国以上に製品を展開する。 所得の低い国で種まきを続けた成果は、2023年後半に数字に現れ始めた。

同年7~9月期 の売上高は同39.2%増の179億9300万元(約3700億円)、純利益は同194.8%増の17億8300万元(約370億円)。同社によると新興市場の開拓が進んでいることが大きいという。

伝音の成長に特に貢献しているのが南米市場だ。調査会社Canalysによると伝音は2023年7~9月の同市場でのスマートフォン出荷台数が同159%伸び、シェアは10%で4位につけた。

中国メーカーの海外進出は、高価格品が売れやすい先進国か、地理的に近くて人口が多いインドや東南アジアが中心で、遠くて時差が大きく、経済が停滞しているうえに政情が不安定な南米の優先順位は低かった。

しかしローカル企業がさほど強くなく、他市場に比べて競争が緩やかな南米に目を付けた伝音は、アフリカで培ったノウハウを生かしコロンビア、エクアドル、ペルーで急速に浸透している。

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