「初日の出を拝む」は意外に新しい習慣だった 実はよく知られていない"正月行事のしきたり"

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【雑煮】年神様の下がりものの餅をいただく

正月といえば雑煮だが、これはもともと年神様に供えた餅を神棚から下ろし、それを野菜や鶏肉、魚介などと一緒に煮込んでつくった料理。「雑煮餅」ともいわれたそうだ。

元来、雑煮は正月用ではなく、室町時代のころの儀礼的な酒宴などで出されたのが始まりです。最初に雑煮を食べて、胃を安定させてから酒宴に移るという前菜の役割を果たしていました。それが、やがて正月料理になったといいます(47ページより)

そんな雑煮は、地域によってそれぞれ特色がある。

おもに関西では白みそ仕立て、関東ではしょうゆ仕立て(すまし仕立て)と分かれ、なかに入れる餅の形も、関西では丸餅(年神様に供える鏡餅をかたどっているため)、関東では切り餅(のし餅、角餅ともいう)が一般的だ。

“学べる”というより“楽しめる”一冊

ここでご紹介したのは第一章「正月行事のしきたり」の一部だが、これだけを見ても「へえ、そうだったのか」と改めて感じたのではないだろうか。

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そのため個人的にも、“学べる”というより“楽しめる”内容だと感じた。

もちろん、「年中行事のしきたり」「結婚のしきたり」「懐妊・出産のしきたり」「祝い事のしきたり」「贈答のしきたり」「手紙のしきたり」「葬式のしきたり」「縁起のしきたり」と続いていく以後の章についても同じことがいえる。

楽しめて、そしてためになるだけに、知的好奇心を刺激されるはず。

各項目がコンパクトにまとめられており読みやすいので、正月休みを利用して、ぱらぱらとページをめくってみるのも悪くないかもしれない。

印南 敦史 作家、書評家

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いんなみ あつし / Atsushi Innami

1962年生まれ。東京都出身。広告代理店勤務時代にライターとして活動開始。「ライフハッカー[日本版]」「ニューズウィーク日本版」「WEBRONZA」「WANI BOOKOUT」などで連載を持つほか、「ダ・ヴィンチ」など紙媒体にも寄稿。『遅読家のための読書術――情報洪水でも疲れない「フロー・リーディング」の習慣』(ダイヤモンド社)、『世界一やさしい読書習慣定着メソッド』(大和書房)、『人と会っても疲れない コミュ障のための聴き方・話し方』(日本実業出版社)、『読んでも読んでも忘れてしまう人のための読書術』(星海社新書)など著作多数。

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