認知症の親に「介護施設へ入所して」どう伝える 親子なのにイライラしてしまうのは親不孝?

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老人保健施設は主にリハビリの施設で、医師や看護師、リハビリ職員がいて、在宅復帰を目指している施設なので、病院の延長と考えればスムーズに入所できます。

ただし、状態が回復すれば退所が必要になることもありますし、身体的な不自由がなければ入所自体ができません。

他の介護施設にもそれぞれの入所基準があります。

公的な施設の場合、特別養護老人ホームは要介護3以上、それ以外のグループホームや老人保健施設などは要介護1以上の人が利用できます。民間の介護付有料老人ホームは施設ごとの規定があるので確認が必要です。

介護施設の種類
(出所:『認知症心理学の専門家が教える 認知症の人にラクに伝わる言いかえフレーズ』)

以上のように、施設にもいろいろと種類がありますし、施設の雰囲気も違います。事前に施設を訪問して様子を見たり、職員に話を聞いてみたりすることも大事だと思います。

親身になって話を聞いてくれる施設に出合えることを願っています。

介護施設への入所を検討するなら

認知症が進行すると、在宅での介護から切り替えて、施設入所を真剣に検討する必要も出てくることでしょう。

施設に入れることに抵抗がある人もいるかもしれません。しかし、施設への入所によって体調がよくなるケースはかなりあります。

施設では、健康チェックや水分補給、口腔ケア、栄養バランスがよく食べやすい食事など、その人に合わせた環境が用意されています。

入所を決める前に、必ず見学に行きましょう。設備、医療体制、食事内容、他の入居者や介護スタッフの様子などをしっかり観察します。

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佐藤 眞一 大阪大学名誉教授

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さとう しんいち / Shinichi Sato

1956年東京生まれ。大阪大学名誉教授。大阪府社会福祉事業団体特別顧問。博士(医学)。
早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得満期退学後、1999年に埼玉医科大学より博士号授与。明治学院大学心理学部教授、マックスプランク研究所上級客員研究員などを経て、2009年に大阪大学教授に就任し、2022年に定年退職。
著者・共著は『認知症の人の心の中はどうなっているのか?』(光文社新書)、『マンガ 認知症』(ちくま新書)、『認知症心理学の専門家が教える 認知症の人にラクに伝わる言いかえフレーズ』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など多数。

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