【産業天気図・建設業】民需の伸びに陰り。防衛施設庁談合事件の影響など一部で不透明要因も

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2006年度の建設業の空模様は上・下期とも「薄曇り」か。
 公共事業が依然右肩下がりな一方、これまで順調だった民間設備投資に陰りが見えている。大林組<1802.東証>や清水建設<1803.東証>、鹿島<1812.東証>などのスーパーゼネコンと他の上位ゼネコン、さらに中堅ゼネコンの中で「勝ち組」と「負け組」の間では、財務体質や技術開発力など企業体力格差の拡大傾向が今後も続こう。
 上期は、民間工事、とりわけ比較的利益率の高い工場や物流施設などで優良な受注を見込める企業(スーパーゼネコンや、本拠地の長野で製造業者の顧客層が厚い北野建設<1866.東証>など)は堅調と見られる。しかし、公共事業への依存度が大きい社は依然苦戦を強いられるほか、五洋建設<1893.東証>、鹿島、大林組など一部大手は防衛施設庁談合摘発による指名停止の影響を受け、先行きに不透明感が漂う。
 下期も基本的にこの傾向は続くと見られる。官需減少、民需にも陰りと建設事業の妙味が減る状況で、各社は都市開発や土壌浄化などの環境事業といった「叩き合い」(安値受注競争)が激化していない分野での足場堅めを狙う時期となるだろう。ここでも、総合的な技術力や財務体力を持つスーパーゼネコンの優位性は揺るがない。
【鈴木謙太朗記者】


(株)東洋経済新報社 電子メディア編集部

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