FRBが2024年の「利下げ」に向けて地ならし インフレ圧力緩和受け利上げを反転する方向に

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記者会見したパウエルFRB議長Source: Bloomberg

このほか、シティグループのエコノミスト、ベロニカ・クラーク氏はFOMC声明とパウエル議長に関し、「声明にはテクニカルには利上げバイアスがあり、議長もまだそのように話しているが、誰も信じていない」とし、「次のステップが利下げであることは誰もが分かっており、議長もそれを確認した」と話した。

FF金利先物市場でトレーダーが織り込む来年の利下げ回数は現時点で計6回と、今週の早い時点の4回から増え、トレーダーは3月のFOMC会合での利下げの可能性を100%織り込んでいる。

パウエル議長は過去数カ月にわたり、インフレ抑制を実質的に自身唯一の責務に位置づけ、物価高対策には「多少の痛み」を伴うと警告してきた。現状を見ると、経済のソフトランディング(軟着陸)が保証されたにはほど遠いものの、労働者にとっておおむね痛みのない形でインフレ鈍化が進んでいる。

二つの責務を巡り、リスクバランスの均衡を図る必要性

議長は「これまでに進展が見られたのは非常に良いことだ」とした上で、「さらなる進展が必要だ」と語った。

ブルームバーグ・エコノミクス(BE)の米国担当チーフエコノミスト、アナ・ウォン氏らは「市場が織り込む利下げについて、FOMCは意外なほど是認する意向を示した。最新の四半期経済予測は軟着陸シナリオの全面的な受け入れを反映している」との見解を示した。

パウエル議長は今回、物価安定と最大限の雇用の実現という二つの責務を巡り、リスクバランスの均衡を図る必要性に一段と明確に言及した。具体的には、金利を過度の高水準に維持することに関し、「あまりにも長く踏みとどまることのリスクを認識しいている」とし、「われわれはそれがリスクであることを分かっており、そうしたミスを犯さぬよう非常に集中的に取り組んでいる」と発言した。

KPMGのチーフエコノミスト、ダイアン・スウォンク氏はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「インフレ鈍化の事実に当局者がエキサイトしているのは間違いない」とコメントした。 

原題:Fed Prepares Shift to Rate Cuts in 2024 as Price Pressures Fade(抜粋)

--取材協力:Steve Matthews.

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著者:Craig Torres、Catarina Saraiva

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