幸楽苑「290円ラーメン中止」でどうなった? 主力を「520円」に切り替え客単価は上昇

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そこで幸楽苑は、出店計画を担う開発部の改革を断行。コンビニ店舗開発歴約20年の人材を招聘し、開発部長にすえた。開発部人員の組織強化と、赤字店舗の黒字化や転貸、閉店に加え、戦略的な出店を慎重に実施していくという。

今期の赤字店舗削減数は44店舗の目標。今期中に幸楽苑全店舗(5月末501店舗)の1割にまで赤字店を押し下げたい意向だ。同社の新井田傳社長は「今の客単価では都内のビルに出店すると黒字が難しい状況。客単価の改善とともに、赤字店舗比率を近い将来、全体の5%以内にまで抑えていきたい」としている。

赤字店を減らすのは容易ではない

全体の20%以上におよぶ赤字店舗数は、将来5%以下にしたいという

しかし、赤字店舗における赤字解消は、そう簡単には進まないのが実情だ。黒字化させるためには、人件費の削減が必要になるが、スタッフを減らせば同時にサービスの低下を招く。新商圏への出店も、知名度がないため黒字化に時間がかかる。

また、赤字解消にメドが立たず閉鎖しようとしても、すんなり行くわけではない。賃借契約期間がまだ残っており、赤字のまま運営を続けなければいけないケースもある。

前期も当初、一気に50店舗まで引き下げる計画だったが、結果は94店舗が赤字店として残った。今期の44店舗削減計画は前期の34店舗を上回る数値で、予定通りに進むかは未知数だ。

ゆくゆくは、営業利益率7~8%を確保できる経営体質を目指したいとする幸楽苑。だが、道のりは険しそうだ。

(撮影:今井康一)

鈴木 雅幸 東洋経済 記者

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すずき まさゆき / Masayuki Suzuki
2001年東洋経済新報社入社。2005年『週刊東洋経済』副編集長を経て、2008年7月~2010年9月、2012年4月~9月に同誌編集長を務めた。2012年10月証券部長、2013年10月メディア編集部長、2014年10月会社四季報編集部長。2015年10月デジタルメディア局東洋経済オンライン編集部長(編集局次長兼務)。2016年10月編集局長。2019年1月会社四季報センター長、2020年10月から報道センター長。
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