だからアメリカは、9月には利上げできない FRBの想定通りにコトは運ばない

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だからこそ、FRBは9月には利上げに踏み切ることができないでしょう。市場の予想に反して1-3月期のGDPが急減速したのですから、FRBは4-6月期のGDPを見ただけでは景気拡大の持続性に自信を持つことができないでしょうし、4-6月期が1-3月期と同様に芳しくない結果となれば、7-9月期と10-12月期のGDPも見たいと考えるのは当然のことでしょう。

イエレン議長の信念は「バブルを止めること」

ただし私は、たとえ経済の状況がFRBの想定を下回る結果が続いたとしても、今年の12月か来年の3月には利上げがあるだろうと考えています。これまでのイエレン議長の発言から察するに、彼女の脳裏には「景気も大事だけれども、バブルは止めなければならない」という強い信念を感じることができるからです。

イエレン議長にとっては、現在の米国株はバブルに片足を突っ込んでいるように見えるのでしょう。

だから、バブルの進行を止めるためにも、なるべく早く利上げを行いたいと思っているのでしょう。仮に7-9月期および10-12月期のGDPのいずれかが2%台の増加を達成できたとしたら、イエレン議長は景気の持続性に確信が持てない中で、苦しい決断を迫られるのではないでしょうか。

なお、日本のGDPの予想に関しては、ブログ『経済を読む』で述べていますので、興味がございましたらご覧いただければ幸いです。

中原 圭介 経営コンサルタント、経済アナリスト

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なかはら けいすけ / Keisuke Nakahara

経営・金融のコンサルティング会社「アセットベストパートナーズ株式会社」の経営アドバイザー・経済アナリストとして活動。「総合科学研究機構」の特任研究員も兼ねる。企業・金融機関への助言・提案を行う傍ら、執筆・セミナーなどで経営教育・経済教育の普及に努めている。経済や経営だけでなく、歴史や哲学、自然科学など、幅広い視点から経済や消費の動向を分析しており、その予測の正確さには定評がある。「もっとも予測が当たる経済アナリスト」として評価が高く、ファンも多い。
主な著書に『AI×人口減少』『これから日本で起こること』(ともに東洋経済新報社)、『日本の国難』『お金の神様』(ともに講談社)、『ビジネスで使える経済予測入門』『シェール革命後の世界勢力図』(ともにダイヤモンド社)などがある。東洋経済オンラインで『中原圭介の未来予想図』、マネー現代で『経済ニュースの正しい読み方』、ヤフーで『経済の視点から日本の将来を考える』を好評連載中。公式サイトはこちら

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