日本の経営者の好きな本は司馬遼太郎、外国の経営者はホッブスやルソー。これでは勝てません--出口治明・ライフネット生命保険社長(第4回)

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 例えば、20世紀に2回も世界戦争をやって懲りているはずなのに、アメリカは今でもイラクとアフガンで戦争を続けているでしょう。愚かですよね。でも、人間は失敗ばかりしているけれど、トータルとしては色々な経験や知恵によって正しいことを選んできたから地球上でまだ滅ばずに生きているのではないでしょうか。

だから、本を読んで昔の人の知恵を借り、人と社会について学ぶことが大切になります。このように、物事を人類の歴史に照らし合わせて考えることを僕は「タテ思考」と呼んでいます。

また、物事を違う世界に住む人々の状況に照らし合わせて考える「ヨコ思考」も大切です。業界外の人や年齢の違う人、外国人など色々な世界の人と交流し、現在世界でうまくいっている人の真似をするといいでしょう。

ちなみに僕は昔から活字中毒であると同時に旅が大好きで、サラリーマンのときは夏と冬に必ず2週間ずつ休みをとって旅に出ていました。人々の生まれた土地や先祖のことをちゃんと勉強し、さらに自分の足で歩かない限り世界のことは何もわかりません。読書と旅は「タテヨコ思考」を鍛えるのに非常に役立ちますよ。

(撮影:尾形 文繁)

でぐち・はるあき
1948年三重県美杉村生まれ。京都大学法学部(専攻:憲法)を卒業後、1972年に日本生命保険相互会社に入社。企画部や財務企画部にて経営企画を担当。生命保険協会の初代財務企画専門委員長として、金融制度改革・保険業法の改正に東奔西走する。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを経て、同社を退職。2005年より東京大学総長室アドバイザー(非常勤。07年まで)を勤め、06年にネットライフ企画株式会社設立、代表取締役就任。07年より早稲田大学大学院講師(非常勤。08年まで)。08年の生命保険業免許取得に伴い、ライフネット生命保険株式会社に社名を変更、同社代表取締役社長に就任。10年より慶應義塾大学講師(非常勤)。

■CEOへの道は、エグゼクティブ向けの人材会社・経営者JP主催のセミナー「トークライブ・経営者の条件」との連動企画です
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