東芝・ソニーの中小型液晶連合、「官主導」に潜む限界

拡大
縮小


弱体化加速の懸念も

一方、国にも思惑がある。機構は経済産業省が管轄する国策ファンド。国際競争力強化を狙った大企業の事業再編も投資目的の一つに掲げている。そもそも経産省は半導体で日の丸連合の結成を後押ししたり、シャープの液晶事業に補助金を付けるなど、国内産業のつなぎ止めに躍起だった。追い風の吹く中小型液晶事業でも“日の丸連合”を結成し、有機ELで先行する韓国勢などに対して巻き返しを狙うとなれば、大義名分も成り立つ。

が、そもそも芽のある事業なら、当事者が積極的にリスクを取りに行くはず。すでに業界では「統合で経営責任の所在があいまいになり、かえって弱体化が加速するのでは」との見方が大勢。国の巨額出資の意義が問われる。

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(長谷川高宏、前田佳子 撮影:尾形文繁 =週刊東洋経済2011年6月18日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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