グーグルのMVNOが"平和すぎる"業界を壊す <動画>これまでのプレーヤーにない破壊力

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ただこれまでのMVNOは、どちらかというと通信業やインターネットの世界をビジネスの中心にしていない会社が参入し、展開しているパターンが多い。たとえば欧州なら、バージンモバイルが有力な事業者のひとつです。

日本においてもいろいろありますが、はっきり言って旧来の通信事業者に脅威を与えるようなプレーヤーは、まだ出てきていません。

旧来の通信事業者も奮起する?

ここにグーグルが斬り込んでくるのですから、これはユーザーにとってきわめて期待ができる内容だと思うのです。今までのキャリアが、音声収入などいろいろなことをアテにして生きているのに対し、グーグルはネット中心主義、サービス中心主義で展開するでしょう。

つまり今後も、グーグルのサービスがいちばん使いやすいような体系で、ネットワークサービス構築を集中してやってくる可能性が高いのです。

すると通信事業者よりもいいサービスがMVNOから出てくる可能性がある。それによって、また旧来の通信事業者も差別化しようとして競争が起こる。ちょっと平和になりすぎた感のある通信事業者の競争環境に、大きなくさびを打ち込むであろうグーグル。期待しています。

夏野 剛 慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特別招聘教授

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なつの・たけし

早稲田大学政治経済学部卒業、東京ガス入社。米ペンシルベニア大学経営大学院ウォートンスクール卒(経営学修士)。NTTドコモでiモードの立ち上げに参画。執行役員マルチメディアサービス部長を務め、08年に退社。現在は慶應義塾大学政策メディア研究科特別招聘教授のほか、ドワンゴ、セガサミーホールディングス、ぴあ、トランスコスモス、DLE、GREEの取締役を兼任。経産省所轄の未踏IT人材発掘・育成事業の統括プロジェクトマネージャー現任。ダボス会議で知られるWorld Economic Forum の“Global Agenda Council”メンバーでもある。


 

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