勝ち組アイリスオーヤマを支える究極の物流 1万5000品目をさばく驚異のワザに迫る!

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奥行き160メートルの巨大倉庫に3.3万パレット分の商品が保管されている

倉庫の規模もケタ違いに大きい。同社が使用している保管用のパレットは標準よりやや大きめ(寸法1・5×1・2メートル)だが、埼玉第1自動倉庫の収容可能量は2.9万パレット、第2自動倉庫は3.3万パレットにも及ぶ。
 ちなみに、第2倉庫は横幅61×高さ30×奥行き160メートルに及ぶ。搬出入口からの写真ではその巨大さが伝わりにくいかもしれないが、倉庫内の構造は下の写真図のようになっていて、巨大な倉庫の中にぎっしりと商品がストックされている。

第1・第2倉庫を使い分け

倉庫

埼玉で第1自動倉庫が稼働したのは2003年。その後、取り扱いアイテム数や出荷量の増大に対応するため、20億円を追加投資して、12年に第2自動倉庫も稼働させた。「第2自動倉庫は第1より処理速度も早くなった。その強みを最大限に活かすため、回転率の高い商品は第2倉庫に集めて、1品目当たりのストック量も多めにしている」(中畑工場長)という。

もちろん、設備自体は業者から購入したものだが、効率よくオペレーションを行うための自動化プログラミングなどは同社のシステム部門がみずから行ったという。また、回転が早い商品ほど搬出口の近くに保管し、搬送ロボットの移動時間が最小限で済む(=その分、入出庫にかかる時間が短くなる)よう工夫している。

アイリスオーヤマ埼玉工場の第2倉庫

アイリスオーヤマがここまで物流の効率化にこだわるのには理由がある。

同社はクリア収納ケースや園芸用品などが以前の主要な取扱商品だったが、調理用器具や寝具、家電製品、LED電球、食品などへと展開分野を広げ、こうした戦略が近年の急成長につながった。

その結果、取扱品目の数も急速に増え、今や約1万5000品目にも及ぶという。また、取扱商品の種類が広がったことで、取引先も従来のホームセンターから家電小売店、工務店などにも広がった。

膨大な品目数、しかも、どんどん増えていく配送先。前近代的な物流システムではすぐにパンクしてしまう。だからこそ、徹底的に物流にこだわり、現在の効率的な仕組みを造り上げたのだ。急成長を続けるアイリスオーヤマ。その強さの秘密は物流にあった。 

渡辺 清治 東洋経済 記者
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