衆議院議員・河野太郎--虚構の核燃料サイクルで日本の原子力政策は破綻

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再生可能エネルギーより原子力のほうがコスト高

── 一方で、再生可能エネルギーへの取り組みは遅れてきました。

04年にドイツのボンで開催された再生可能エネルギー会議で、各国の国会議員団の会議があった。宣言に「二酸化炭素を減らすために原発を増やすというのは温暖化対策にならない」という文言を入れてほしいと話したら、起草委員会のメンバーがあきれてこう言った。「代わりに核のゴミを出すことが温暖化対策になるわけがない。そんなこと書かなくても当たり前だろう」と。でも、日本ではそういう議論をしてきた。

“いんちき”はまだまだある。「原子力はコストが安い、太陽光や風力はコストが高い」と原発推進派は言ってきた。この理屈も破綻している。結局、ウランは再処理できず、原発で使用済み核燃料になって終わる。そうすると、石油と同様に70~80年で使い切っちゃう。それなら太陽光や風力による発電コストは、高速増殖炉のコストとの比較で見ないとおかしい。高速増殖炉は理論コストで比較しても再生可能エネルギーよりはるかに高い。

──国、学者、電力会社が一体となって推進し、国民が議論に参加できなかった。

その現実を作ったのはメディアだ。3・11以後の大きな変化は、「原子力事故は起きないんです」で議論を封殺することが通用しなくなったこと、河野太郎の話を自民党内でも聞くようになったこと、電力会社にカネで黙らされていたメディアが発言するようになったことだ。

津波の後にメルトダウンした可能性を指摘した学者が何人いたか。本当に一流の原子力の専門家なのか。研究費や卒業生の就職と引き換えに良心を売り渡し、「電力さまさま」になっていた。3・11後に、電力会社も学者も原子力安全・保安院も無能力者の集まりだとわかった。事故には、IAEA(国際原子力機関)と海外の専門家を入れ、最先端の知見を集めて対処するしかない。

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