BYDだけじゃない! "中国EV"は日本で売れるか 「予約時の頭金がたった1万円」の商用車も

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「台数もそこまで多くないし、脅威とは思っていない」(トヨタ系販売会社幹部)との声があるように、中国製EVが日本で普及するかは未知数だが、トラックなど商用車の分野では状況が異なる。

大手企業の採用が相次ぐ

モビリティショーでは、物流機器を手がける日本のヤマト・インダストリーと中国で自動車の開発支援を行うIATが、中国のEVベンチャー「金琥汽車」が量産する商用バンをベースにした「JEMY EV48」を合同で展示した。

来秋に税込み400万円以下で発売する計画。貨物配送業者が荷室内をかがまずに移動できるよう車高を高くするなど、現場のニーズに合わせた設計が特徴だ。

「予約時の頭金は1万円で十分だ。来年10月からの納期を守れない場合、1カ月遅れるごとに10万円値引きする。BtoBがメインだが、個人向けのカスタマイズも受け付ける。5000台売れたらさらに輸入を拡大したい」とヤマト・インダストリーの池添洋一取締役は意気込む。

「JEMY」ブランドの商用EVは、車高の高さが特徴だ

さらに小型商用車の領域では、日本の大手企業が低価格の中国製EVを次々と採用している。

日本のEVベンチャーであるASFは、「ASF2.0」を中国の広西汽車系に生産委託。佐川急便、コスモ石油マーケティングなどに納車した。

同じくEVベンチャーのフォロフライは東風汽車系の車体を活用。物流大手SBSグループに1万台の納入が決定し、大手のコンビニやガス会社への納入実績も積み上がっている。

商用車は乗用車に比べブランドへのこだわりが小さいとみられ、日本における中国勢の突破口になる可能性がある。

横山 隼也 東洋経済 記者

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よこやま じゅんや / Junya Yokoyama

報道部で、トヨタ自動車やホンダなど自動車業界を担当。地方紙などを経て、2020年9月に東洋経済新報社入社。好きなものは、サッカー、サウナ、ビール(大手もクラフトも)。1991年生まれ。

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