「NISAはどんなメリット?」初心者に超キホン解説 そもそもどんな制度?国が推奨している理由

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逆に国民の多くが株式への投資を避けるような状況では、経済の活力が低下し、国民もだんだん貧しくなってしまうでしょう。

そうした事態を避けるためには、ある程度は株式市場への国民の投資が必要なため、国は経済活動の活性化のために、国民の預貯金以外への投資をうながしているのでしょう。

そして、その恩恵は国民へと波及します。

加えて、日本社会の急激な少子高齢化に伴う年金不安も、国が預貯金以外への投資を勧める大きな理由の1つになっているようです。

現在、日本はすでに国民のおよそ3分の1が65歳以上という「超・高齢社会」になっています。少子化も急激に進んでおり、新たに生まれる子どもの数は2022年には80万人を切りました。

このような状況下で、現役世代が高齢者を支える仕組みになっている現在の年金制度が本当に持続可能なのか、疑問視する声が大きくなってきました。

年金がで足りない分は自分でなんとかする

不安に応えるためのさまざまな制度改正が行われ、国は当面は年金制度は持続可能であるとしています。

しかし、それは必ずしも、「老後の生活に十分な金額が年金で支給されますから、安心してください」という意味ではありません。

ある程度は年金も出ますが、年金だけでは老後の生活費に足りない部分は、国民各自が自分でなんとかすることを前提にして、持続可能だと言っているにすぎないのです。

2019年に行われた金融庁の審議会では、今後、老後の30年間に年金だけでは不足する生活費を、1世帯(夫婦)あたりおよそ2000万円と見積もる報告がされ、「2000万円問題」として社会問題にもなりました。

そして、そうした不足する老後資金への対策を長期的に進めるには、元本保証があるためにリターンも少ない預貯金では全然足りないのです。

国としては、多少のリスクはあっても、より効率的に資産を増やせる預貯金以外への投資を優遇することで、将来、老後の生活費の不足で困ってしまう国民を減らしたいときっと考えています。

そのためのツールの1つとして、NISAをフル活用してほしいと考えているのでしょう。

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