鳥貴族、「創業期の社名」に戻した意外すぎる理由 「横文字」社名に込めた新領域開拓の本気度

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当時の社名の「イターナル」について、「企業理念が表すように『永遠』という思いが込められている」(鳥貴族HD広報)。鳥貴族HDの企業理念は3つあるが、そのいずれにも永遠という言葉が使用されている。

鳥貴族の創業店(俊徳道店、大阪府東大阪市)。駅前再開発に伴い、2008年に閉店(写真:鳥貴族ホールディングス)

永遠を表す英単語の「eternal」については当時、「エターナル」を使用した会社が存在した。そのため差別化の意味も込め、英語の発音に近いイタ―ナルサービスという社名となった。

その後、2007年に100店舗に到達。さらなる店舗数の拡大を目指す中で、「屋号と企業名が同じであるほうが、採用や出店に有利になる」(鳥貴族HD広報)と、2009年に社名も鳥貴族へと変更した。

鳥貴族の足元の業績は、回復基調にある。コロナウイルスの影響で2021年7月期と2022年7月期は連続で営業赤字に陥った。だが、コロナの影響が薄れたことにより人流が回復。さらに、鳥貴族の公式アプリを通じた販促や期間限定のメニュー投入で、客数を伸ばした。

足元の業績好調でも上昇基調が続くとは限らない

2023年7月期は営業利益14億円と黒字転換。今2024年7月期は売上高399億円(前期比19.5%増)、営業利益18.6億円(同31.3%増)と、高水準の利益をたたき出す計画だ。

とはいえ、会社の目論見通り、今後も業績が上昇基調を続けるとは限らない。日本フードサービス協会の調査によれば、2023年9月のパブ・居酒屋業態全体の売上高は前年同月比で30%増と復調しているものの、2019年9月比では30.9%減。居酒屋業態全体については、回復が鈍いことがわかる。

「20時以降の客数は、完全には戻らないだろう。消費者の行動は変化しており、2次会需要の復活はないのではないか」(外食企業の中堅社員)。国内需要が足踏みする中で、鳥貴族の成長も頭打ちとなる懸念がある。

さらなる成長へと、鳥貴族HDが意識を向ける領域は何か。新しい社名から見えてくるものが2つある。

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