「日経平均株価2万7000円の懸念」が消えないワケ 市場が不安視する「中東以外のリスク」とは何か

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実際、主要国の株式市況は上下動を大きく繰り返しながらも、徐々に下値を探る動きを強めていると判断する。とくに日米ともに小型株、株価指数で言えば「東証マザーズ指数」や「ラッセル2000」の調整が厳しい。

小型株に属する企業群は、主として新興企業として利益の成長性が期待できるが、業績のリスクも大きい。投資環境が順風で、投資家がリスクをとって長期成長に賭けようという心理状態にあれば、小型株が大型株を上回って推移するはずだが、現在は逆の状況になっている。ということは、底流にある投資家の行動は世界的にリスク回避的で、今後も株価にとって逆風になり続けると懸念する。

中東情勢が市場の大きな不安要因となりにくいワケ

大枠の株価展望は以上のとおりだが、最近のいくつかの注目事についても触れたい。まず、10月7日に、パレスチナのガザ地区を実効支配している武装勢力・ハマスが、イスラエルを大規模攻撃したことが投資家心理に影を落としている。

今回の「ガザ危機」では多くの人命が失われており、極めて深刻な事態だ。また、中東の政治情勢全般に混迷が広がるのではないかとの不安もある。

ただし、人道上の懸念や中東地域における広範な地政学的リスクではなく、あくまでも「証券や金融などの市況に生じる影響」という点に絞れば、大きな不安要因にはなりにくいと判断する。

まず、ほかの諸国の経済などに生じる影響という観点では「原油価格が高騰するような事態に陥るかどうか」が挙げられる。確かに、代表的な国際指標であるWTI原油先物価格は、ハマスによる攻撃直前の10月6日には一時1バレル=81.50ドル前後まで下押ししていたものが、20日は90ドル台に迫る局面があった。だが、9月下旬のように95ドルまで振れるような展開とはなっていない。

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