"断捨離"と"ヘヤカツ"で人生が劇的に変わる 自分を変えたいなら、部屋から始めよう

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――分類のしかたを鍛えるには?

岩崎:分類は永遠のテーマで、人はレッテルを貼るから理解の幅が広がっていく。いろいろな分類法を見ていくといい。

やました:大中小と細かくしていくか、逆に大きくしていくか。抽象と具象を繰り返す。

岩崎:本棚から本を全部出して、分類し直す。本屋が本をどのようなコーナーに配置しているかを見るのも勉強になりますよ。かなり異なりますから。

――空間を共有する家族と価値観が合わないと、困りますね。

岩崎:妻とは、価値観が一致しているところとそうでないところがあります。妻はモノをため込むことはしないのですが、すぐ写メをとって保存する。僕はプリンタが嫌いで、わざわざ印刷しなくていいと思っていますが、彼女はプリントアウトしたがる。

やました:夫は、私がモノを捨てることを嫌がらないのですが、彼が捨てたがらないモノはある。人によって、断捨離できるものと、そうでないものとがある。夫婦は同じ空間を共有するから、どう折り合いをつけていくかが肝心です。自分のトゲと相手のトゲがこすりあって、つるつるになっていくのはいいけれど、相手のトゲで自分がえぐられるなら、離れたほうがいい。今を生きるという意味では、夫婦の関係がいちばん重要です。親は親、子は子ですから。

親は子どもに嫌われるくらいがいい

岩崎:おっしゃるとおり。これは僕の持論ですが、親への執着を手放して自立している人は仕事ができる。

やました:親にわだかまりのない人っていないのでは。

岩崎:子どもに嫌われる親ほどいい親ですよ。むやみに甘やかしたり、好きになってもらおうと仕向けるのは、親のエゴだと思います。親がなんでも「いいよいいよ」と受け止めると、子どもは反発できなくなる。

――親にとっては耳の痛い話ですね。では最後に、おふたりがこれから伝えていきたいことを聞かせてください。

やました:断捨離については、まだまだ伝わっていないという思いが強くあります。私自身は、今、目の前にあるご縁のあることをやっていく。登っているときはその山しか見えないけれど、頂上に立つと次の山が見える。そんな感じでしょうか。

岩崎:僕も目の前のことをやっていくと、最後はいい場所に出ると思っています。いずれにせよ、変化に柔軟に対応したいですね。先日、芸人を目指す若者たちの群像を描いた自主映画を作り、PFF(ぴあフィルムフェスティバル)に応募しました。なぜ自主映画を作ったかというと、『もしドラ』の映像作品に悔いがあるからです。僕は映画史に残るような作品になりうると思っていたのに、映像のプロたちはそういうスタンスで作ってくれなかった。だから、自主映画を作ることで、僕が作品を制作できることを証明したい。

やました:今度、大学で断捨離の授業を持つことになりました。断捨離の背景にある、日本人の宗教思想や哲学、信仰をひもときながら、学生の知的好奇心を刺激したい。ついでに部屋もきれいに片づいたらいい(笑)。

岩崎:「捨てる」は日本文化の特徴でもあります。言葉はその典型ですよ。400年前のシェイクスピア作品は現代でも読むことができますが、日本の400年前といったら関ヶ原の時代。徳川家康が書いた文章なんて誰も読めません。ちょっと前の夏目漱石だって読めない。それだけ日本語は変化が激しい。僕は建築を学びましたが、外国人はうらやましいと言っていました。伝統的な建物を壊して新しい建築をどんどん建てていきますから。

やました:なるほど。捨てるは日本文化のキーワードでしたか。

――お家芸といえるのかもしれません。本日はありがとうございました。

(撮影:尾形文繁)

高橋 志津子 東洋経済 記者

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たかはし しづこ / Shizuko Takahashi

上智大学法学部国際関係法学科卒。東洋経済新報社に入社後は、会社四季報、週刊東洋経済、ムック、東洋経済オンラインなどさまざまな媒体で編集・執筆を手掛ける

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