いきなり転職ではなく、何かを成し遂げよ 「コネ入社しましたが転職を考えています」

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ちなみに「どんな人生やキャリアを送りたいか」という問いかけは、何も「たいそうなことを考えろ」と言っているわけではありません。Yさんにとってどんな状態を楽しいと感じるかといった、小さなことから考えていけばいいのです。

繰り返しですが、そういった選択肢自体は手段でしかありません。要は、「何をご自身で成し遂げたいか」、または「働くうえでの優先順位をどのあたりに設定するか」ということをまずは考える必要があります。

仮に、考えるのがちょっと難しいということであっても、3つの選択肢を手段と考え、その時々の状況において合理的であると思われる選択をすればいいのです。何も現時点でひとつに決める必要はないように思えます。Yさんの現在の状況は、仕事をするうえでのポリシーやご自身にとっての優先順位が明確ではないのですから、あえて選択肢を絞る必要はありません。仕事をするうえでの目標や目的のようなものが、おぼろげながら見えて来たときに選択したらいいでしょう。

何かを成し遂げる経験を積むことが肝心

そう考えると、来年の公務員は本当にご自身の価値観に照らし合わせて進むべき方向性でしょうか。要は「その道を選んでいろいろと困難を乗り越えるだけの自信があるか」という、簡単な質問です。

仮に今の状況がなんだかしっくりこないので、ほかの選択肢でわかりやすい何かをということであれば、踏みとどまって考えたほうがいいでしょう。どんな仕事もそんなに甘いものではありませんし、自分の考えがはっきりしない中で、手段たる選択肢だけ選んでも、ロクなことにはならないかと思います。

現在の会社は留学制度もあるとのことですから、比較的大きな会社なのでしょう。であれば、できることもいろいろとあるでしょうし、少なくとも何も成し遂げない中で次の職場に行くというようなことは、よほどの信念ややりたいことがないかぎりはお勧めできません。

それよりも、まずは小さくてもいいから何かを成し遂げる経験を積むほうが、Yさんの今後の人生にとってはいい気がします。そうすることで、繰り返し申し上げている「ご自身にとっての職業上なりの価値観」が形成されていくと思うからです。

職業というのは長期的視点が求められます。現状を変えたいと焦る気持ちもわかりますが、まずは落ち着いて自分を知るための行動を優先しましょう。

学生時代を怠惰に過ごしてもコネで就職できた、それはそれである意味、すばらしいと思います。ですが、やはり社会に出たらYさん個人としての人生を歩まなければいけません。目先のわかりやすい変化や選択肢に惑わされることなく、ぜひ、ご自身の価値観なりを理解したうえで、自分のための人生を切り開いていってください。応援しております。 

※安井さんへのキャリア相談は、こちらまでお送りください。

安井 元康 『非学歴エリート』著者

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やすい もとやす / Motoyasu Yasui

MCJ社長兼最高執行責任者(COO)。アニメーションの企画・制作を手掛けるベンチャー企業を経て、MCJにて東証への上場を経験。その後、経営共創基盤にて戦略コンサルタントして9年間活躍し、2016年3月にMCJに復帰。著書に学歴コンプレックスに悩みながらも独自の方法でキャリアを切り開いてきた様子を描いた『非学歴エリート』(飛鳥新社)や、自分ならではの人生を生きる術を描いた『極端のすすめ』(草思社)等がある。

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