《プロに聞く!人事労務Q&A》大震災で死亡したり行方不明となった従業員に対して労災保険は適用されますか?

《プロに聞く!人事労務Q&A》大震災で死亡したり行方不明となった従業員に対して労災保険は適用されますか?

 

回答者:石澤経営労務管理事務所 石澤清貴

質問

この度の東日本大震災は、3月11日(金)の平日であったため、地震や津波によって死亡したり行方不明になった従業員がいるほか、パート労働者が業務終了後に帰宅途中で死亡した例もあります。こうした場合、労災保険は適用されるのでしょうか。(流通業・総務)

回答

労災保険は、業務上又は通勤途上における、負傷、疾病、障害、死亡等について必要な保険給付を行います。したがって、その保険給付を受けるには、業務上災害であること又は通勤途上の災害であることが認定の要件となります。

天災地変に対する労災保険の一般的な考え方は、「天災地変については不可抗力的に発生するものであって、その危険性については事業主の支配、管理下にあるか否かに関係なく等しくその危険があると言え、個々の事業主に災害発生の責任を帰することは困難。」とし業務起因性がなく、原則として、労災保険の適用は受けられないとしていました。しかし、昭和49年に「被災労働者の業務の性質や内容、作業条件や作業環境あるいは事業場施設の状況などからみて、かかる天災地変に際して災害を被りやすい事情にある場合には天災地変による災害の危険は、同時に業務に伴う危険(又は、事業主支配下にあることに伴う危険)としての性質も帯びていることになる。」として、潜在的な危険がある業務で天災地変が契機となって起きた災害については、「業務災害」であるという解釈が示されました(昭和49年10月25日基収第2950号)。

厚生労働省では、これらの基準に照らして、今回の東日本大震災により被災に遭った方の取扱いについて、一定の通知(平成23年3月24日)を出していますが、それによれば次のようになります。

<業務上災害>

(1)仕事中に地震や津波に遭い、負傷、疾病、障害、死亡(以下、保険事故という)した場合

この場合には、地震によって建物が崩壊したり、津波にのみ込まれるという危険な環境下で仕事をしていたとして、通常の業務災害として労災保険から必要な保険給付を行うこととしています。ただし、仕事以外の私的な行為をしていた場合は除かれます。
また、営業等で会社の外で勤務しているとき又は被災地に出張中に地震や津波に遭遇し、被災した場合には、そのときに明らかに私的行為中でない限り、前述と同様の取り扱いとなります。

(2)仕事中に、避難指示が出たので仕事を離れて避難する途中で死亡、保険事故が生じた場合

仕事中に地震があり避難することは、仕事に付随する行為とし、避難行為中に保険事故が起きたものとして保険給付を行うこととしています。

(3)仕事中に、津波に遭い、行方不明になっている場合

通常、震災により行方不明となった方については、警察の調査により死亡が判明した場合、あるいは、民法の規定により行方不明となったときから1年後に死亡と見なされた場合、労災保険の遺族補償給付の請求ができます。なお、今回、厚生労働省では、特例的にこの「1年」よりも短い期間で労災認定ができるようにすることを検討中しています。

(4)休憩時間中に地震や津波に遭って、保険事故が生じた場合

休憩時間中でも事業場の管理する施設(会社の建物の中など)にいるときに、地震や津波があり、建物が倒壊したり押し流されたりして被災した場合には、仕事中と同じ考え方(1)で業務上の災害として保険給付が受けられます。

 

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