秋田はクマに優しくない、被害続いても駆除に抗議 専門家「執拗な電話はカスハラであり言葉の暴力」

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県自然保護課の担当者は、

「全国の中でも、秋田県は人の生活圏とクマの行動圏が近い。さらに、今年は餌が不足していて、人の生活圏に入ってくる危険が大きいのです。秋田県に住む方や同じ東北の方は事情をわかってくださっていますが、県外の、とくに西日本など遠い地域から電話してくる方はこうした事情をまったくご存じないようです。人の命を第一に守っているということを理解していただきたいと思っています」

と気丈に話す。

5日の駆除後の状況についてAERA dot.で報じた際も、30分もの長時間にわたって罵声を浴びせるような電話があると紹介した。

「公務員は奴隷ではない」

10日になっても長時間の電話で激しい言葉を浴びせてきたり、公務員としての資質を問うてきたり、なかには「秋田県はクマに優しくない。だから秋田県は嫌われるんだ」といった内容や、相変わらず「責任者の名前を言え!」と迫ってくるものもあるという。

仮に動物愛護の気持ちが根底にあったとしても、こうした抗議電話をかけることが正しい対応と言えるのだろうか。

危機管理とコミュニケーションに詳しい東北大特任教授の増沢隆太さんは、

「30分、40分もの執拗な長電話はカスハラ(カスタマーハラスメント)に当たると考えます。電話を受けた職員が心を病んでしまう恐れもあり、言葉による暴力です」

と厳しく批判する。

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