IHIの最高益を牽引した"翼の下の力持ち" 重工大手2社の航空部門トップに聞く(下)

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A320neo用のPW1100G-JM、777X用のGE9Xと大きな新規プロジェクトが相次いでいるので、しばらくは開発・量産投資の負担が非常に重い。しかし、1980年代、1990年代に開発着手したエンジンが今の事業を支えているように、こうした新規プロジェクトが15年先、20年先の事業の大きな柱になる。

――主要なエンジンプロジェクトにおけるIHIの参画比率(分担シェア)は多くが10%台。それをもっと上げることは難しいのか。

そこはやはり甘くない。GEにしろ、P&Wにしろ、(パーツ交換が頻繁で収益性が高い高圧タービンなど)特定の部分は絶対に外には出さないし、彼らにとってのパートナーは当社だけでもない。また、参画比率がどんどん上がればいいかというと、それはそれで開発負担が増し、背負うリスクも大きくなる。

分担シェアを上げていくのは大きな目標だが、シェアが上がっても、リスクだけ増えて肝心の利益が伴わなければ意味がない。大事なのは得られる付加価値をもっと高めていくこと。優先順位としては、あくまでそっちが先だ。

777X用エンジンでも新技術を提案

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IHIが開発した炭素繊維複合材製のSGV。米P&W社のA320neo用新型エンジンに採用された

――そのための具体的な取り組みは?

やはり一番大事なのは技術力。燃費などエンジンの性能改善につながる新たな技術を積極的に提案していく。今度のA320neo用のPW1100G-JMで採用された、ファンケースとそれを内側で支えるSGV(構造案内翼)がその代表例だ。

いずれもCFRP(炭素繊維複合材)を使用したのが大きな特徴で、軽量化によってエンジンの燃費性能改善に貢献した。こうした新たな技術を提案できれば、相応の価値を認めてもらえる。777X用の「GE9X」でも、複数の新しい技術を提案しているところだ。

渡辺 清治 東洋経済 記者
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