「忍者ヒグマ」駆除でも終わらない北海道民の恐怖 札幌の住宅街で人身事故、観光客も要注意

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最近は住宅街でも人身事故が起きている。2021年6月18日の早朝、札幌丘珠空港近くの札幌市東区の住宅街に1頭のヒグマ(4歳のオス)が出没し、ゴミ出し後に自宅に戻る途中の75歳の男性、80歳の女性と相次いで遭遇。2人はいずれも転倒後にクマに踏みつけられ、軽傷を負った。

クマはその後北上し、通勤途中の40代男性を背後から襲う。一撃で男性を倒したクマは男性に何度もかみついた後、走り去っていった。男性は肋骨6本を折ったほか、全身を140針縫う重傷を負った。クマはその後、自衛隊丘珠駐屯地に現れ、正門前で警備していた40代の男性自衛官の脇腹に軽傷を負わせて逃走した(その後、猟友会により駆除)。東区で人がクマに襲われたのは143年ぶりのことだったという。

札幌市内でも襲われる可能性

札幌市内での目撃情報は急増している。同市のサイトによると、10月9日までに178件の目撃情報などが報告されている。子連れのクマの目撃情報も多く、いつ襲われても不思議ではない。道全体では9月時点で3000件を超え、過去最多となったという。

観光客やアウトドア派にもヒグマ対策は欠かせない。10月に道東を訪れた筆者は、取材の合間に釣りをしようと川沿いに国道を車で走っていた。牧場が連なる酪農地帯。牛たちが草を食んでいる光景は心がなごむ。

しかし、目に入ってくるのはそんなのどかな光景だけではなかった。至る所にクマ出没注意の立て看板があり、目に飛び込んでくる。クマが頻繁に出没するエリアなのだ。川はクマの移動ルートのひとつだという。クマよけの鈴は身に着けていたが、いつ遭遇するかわからないので見通しのいい河原を選ぶしかなかった。後でヒグマ目撃情報マップ(下画像)を確認してゾッとした。単独行動は厳禁だ。

ヒグマ OSO18
白糠町のHPに掲載されている「ヒグマ出没位置図」
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