アメリカは大英帝国のように衰退しない--ハーバード大学教授 ジョセフ・S・ナイ


アメリカの国際的な信頼を維持するため、財政赤字を削減しなければならないという点では、同教授は正しい。しかし、私が近著『パワーの将来』で指摘したように、財政問題の解決は十分に可能である。

ブッシュ政権の減税も、中東での二つの戦争も、リーマンショック後の不況も経験していない10年前のアメリカは、財政黒字を計上していた。また、世界経済フォーラムの調査によると、アメリカ経済の競争力は依然トップクラスだ。政治制度は混乱しているものの、ゆっくりと必要な変革に取り組み始めている。

共和党と民主党の政治的妥協は、来年の大統領選挙までになされると予測する人もいれば、両党の合意は選挙後に成立すると予測する人もいる。いずれにせよ、覇権の衰退に関するあいまいな発言は、アメリカに対する誤解を招くだけである。

Joseph S. Nye, Jr.
1937年生まれ。64年、ハーバード大学大学院博士課程修了。政治学博士。カーター政権国務次官代理、クリントン政権国防次官補を歴任。ハーバード大学ケネディ行政大学院学長などを経て、現在同大学特別功労教授。『ソフト・パワー』など著書多数。

(週刊東洋経済2011年5月28日号)

記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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