男性も家事・育児をする社会を作ろうよ! ある"ガチイクメン"からのメッセージ

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政府は成長戦略のなかで出生率の改善、女性就業率の向上を掲げているが、いくら働くママが増えても、このままでは状況は改善しない。こうした育児環境や疲弊する女性の状況を目の当たりにした宮本さん。関心を持ってさまざまなデータをあたるうちに、日本の少子化にまつわる危機的な数字が目にとびこんできた。

国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、このまま出生率の改善がなされなければ、60年には日本の人口は約8700万人、うち65歳以上が40%になる。つまり、日本がほぼ破綻状態になることは誰の目にも明らかだ。家族政策によって出生率が回復し、経済成長も遂げたスウェーデンでは、概して男性の育児時間が多い。

「地域社会や母親たちの状況がすでに限界に達している今、日本でも男性たちが働き方を変えて、経済のためにも家事・育児を前向きに担わなくてはいけないと確信しました」

休職から復帰した後に、ある女性管理職から「育児について女性同士が話をすると、専業ママvs.ワーキングママの構図になってしまう。だからあなたのような男性が発言をすることがとても重要」と言われた宮本さん。これまで仕事でかかわってきた農業関連プロジェクトに加え、男性の意識改革や育児参加もライフワークの一つに加わった。

妻必見! 夫が家事・育児をしたくなるコツ

そこで、男性に家事・育児を促すには、夫婦ともにどんなことに気を付ければいいのか? 宮本さんが自分の体験から編み出したコツを紹介しよう。

①妻よ、夫は育児がわからないという前提を忘れるな

たとえば、ゴミの埋め立て地に行けばゴミ問題の逼迫した状況が理解でき、ゴミを出さない工夫をしようと思うけれど、現状を知らないとそこまで思いが至らない。男性の育児はゴミ問題と同じで、育児の日常にいないから“分からない”。女性は夫が“分かってくれない”ではなく、“分からないのだ”という前提に立ち、大変さを共有する努力をすること。

②妻よ、夫にはできるだけロジカルに伝えよう

目の前で泣く子供を男性がすぐに抱かないのは、“分からない”から。「何であなたは泣く子を抱かないの?!」では状況は変わらない。女性は、感情論からではなく、なぜ夫は手伝わないのか、どうやったら男性に手伝ってもらえるかを整理したうえで、話をするといい。この場合「泣いている時すぐ抱きあげると、安心感が子供の大脳を刺激して、脳を成長させるんだよ」など、男性が“なるほど!”と理解できるよう話すといい。

③夫が担当する家事は、結果が分かりやすいものを優先する

家事初心者の男性には、成果がすぐに分かる家事だと手をつけやすい。具体的には、アイロンかけ、トイレ掃除、水回りの掃除、包丁研ぎ、ゴミ出しなど。その他、米研ぎなども、自分でやってみるとおいしさがわかるので張り合いがある。育児関連でいうと、おむつ替えは必須。おむつを汚いと思っている男性は多いが、おむつを乗り越えないとイクメンとすら言えない(はず)。乗り越えたら、いとおしさが増す(はず)。

④夫よ、キッチンのリーダーは妻だと認識しよう

掃除、洗濯などは妻と相談して行えばいいが、キッチンにおいては妻がリーダー。「俺にやり方がある」とガタガタ言わずに、妻の指示に従う。これは、仕事でリーダーの言うことを聞くのと同じ。

⑤家電、洗剤、キッチングッズは性能重視で

家電製品や洗剤、キッチングッズを、本格的に良いものにすると、結果が見違えるように違ってきて、家事が楽しくなる。よいものは使うだけで気分が上がる効果も。

次ページやるなら“ガチイクメン”になれ!
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