洋上風力疑獄、渦中の「再エネ議連会長」を直撃 柴山議員「私も河野さんも秋本事件は寝耳に水」

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このことは、萩生田経産相自身が第1ラウンドの直後に「ほかの仕組みも考えたい」ということをおっしゃっていたので、その意向にも沿うことになると思っていた。

そこで、再エネ議連として三菱商事や有識者へのヒアリングを行った。が、当時の一部報道とはまったく違うことを言っていた。三菱商事は地元の方々にはきちんと説明をしているし、海底地盤調査などさまざまな調査も行っている。そして、赤字覚悟の安い価格を出すことで受注したわけではないということだった。

発電所の運転開始時期についても(三菱商事などが計画している時期よりも)早期化すれば、より早くコストを回収できることになり、さらに売電価格を安くできるという話だった。なるほど、それならば公募入札の中で運転開始時期についても競う仕組みにしなくてはいけないだろうと考えた。

競争政策上よくないのではないかと考えた

もう1つ三菱商事が言っていたのが、子会社でオランダの再エネ企業エネコのノウハウ(洋上風力発電の開発実績)を活用したということだ。とすれば、コンソーシアムで誰と組むかが重要だ。

第2ラウンド以降でもまったく同じように、三菱商事とエネコ以外の事業主体が戦うことができなくなってしまう可能性がある。そうなれば、価格面も含め競争政策上よくないのではないかと考えた。

2022年6月、洋上風力に関する提言書を萩生田光一経産相(左)に手渡しした、自民党・再エネ議連の柴山昌彦会長(中央)、秋本真利事務局長(右)。肩書は当時(記者撮影)

――三菱商事の対抗馬がいなくなるという危機感があったわけですね。2022年6月23日に、萩生田経産相へ洋上風力発電に関する提言書を渡しました。どんな内容だったのでしょうか。

この提言書では、落札制限(入札参加者の案件獲得数を制限するルール)は入っていない。というのは、コンソーシアムをつくるうえで事業者の予見可能性を大きく損なうことになりかねないからだ。制限をするべきではなく自由にやったほうがよいと考えた。

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