孤高のTDKに試練、ハードディスク業界の再編加速の波紋

孤高のTDKに試練、ハードディスク業界の再編加速の波紋

電子部品大手、TDKの屋台骨が揺らいでいる。発端はTDKの得意先であるハードディスク駆動装置(HDD)メーカーの再編加速だ。3月にHDD世界首位の米ウエスタン・デジタル(WD)が日立製作所のHDD子会社を買収すると発表したのに続き、HDD世界2位の米シーゲイト・テクノロジーも韓国サムスン電子から同事業を買収すると発表。HDD業界はWDとシーゲイトの2強体制となる。

TDKは、HDDのデータ読み取りに使われる磁気ヘッドの世界シェア3割を握るトップメーカー。HDDメーカーに外販しているのは唯一TDKだけだ。中でも、サムスンと東芝は磁気ヘッドをTDKから全量調達している。

得意先サムスン撤退で将来のカギ握る東芝

だが、今回の再編で、サムスン向け磁気ヘッドがシーゲイトの内製品に取って代わられるのは確実だ。サムスンはTDKにとって磁気ヘッドの最大顧客で、売上高は600億円、営業利益は100億円以上にも及ぶとみられる。TDKの2011年3月期業績は、コイルやコンデンサーなど受動部品が黒字化し、営業利益は前期比2・5倍の638億円と、リーマンショック前の7割水準まで回復した。うち、磁気ヘッドなどを扱う部門が469億円の利益を稼ぎ出したことにかんがみると、業績へ与えるインパクトは甚大だ。

実際、前期の好決算とは裏腹に、今12年3月期の業績見通しは不透明だ。村田製作所や太陽誘電など競合大手が増収増益の業績予想や設備投資の増強計画を相次いで発表する中、TDKのみ非開示だった。

もっとも、TDKのサムスン向け磁気ヘッドの売り上げが即座に剥げ落ちるわけではない。組み込まれている部品はカスタム品が多く、モデルチェンジには数年かかる。それでも業績見通しが出せない理由は何か。そのカギを握るのが、もう一つの主要顧客である東芝の動向だ。

HDD業界再編で2強に挟まれる形になった東芝。その台所事情は厳しい。前期のHDD事業は100億円以上の赤字で、再編後に価格競争が一段と激しくなるのは必至だ。東芝は今後成長が期待されるデータセンター向けなどでシェア拡大を狙う方針だが、ここで6割以上のシェアを握るシーゲイトの牙城を突き崩すのは容易ではない。


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