神宮外苑「再開発」は行き過ぎた資本主義の暴走か 「高層ビル3棟」の建設計画に国際機関も待った!

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その後、計画の検討は水面下で進み、「東京2020大会後の神宮外苑地区のまちづくり指針」策定の過程で意見募集が行われたのは2018年8月のこと。樹木伐採について触れられることもなく、若干の反対意見は出たものの、再開発に注目が集まることはなかった。

同年11月にまちづくり指針がまとめられたことを受け、翌2019年3月に初めて一部町会長が出席する地元説明会が開かれた。ただ、この説明会に出席した町会長は数名程度。出席した町会長は事態の重大さに驚愕し、再度の説明会開催を求めたが、かなわなかったという。

その後、2020~2021年にかけて5回(事業者主催3回、都主催2回)の住民説明会が開催された。が、市民団体「神宮外苑と国立競技場を未来へ手わたす会」の大橋智子共同代表は、「説明会は公園まちづくり制度や環境アセスメントなどで求められる制度上のもの。アリバイ作りであって、市民の視点を計画に取り入れるためのものではない」と話す。

三井不動産は対応を「検討中」と回答

神宮外苑が、「どのように」未来につながっていくのかが問われている(記者撮影)

事業者は2023年7月に初めて任意の住民説明会を開いた。対象は開発エリアから380m(建設予定のビルの高さ190mの2倍)の範囲に暮らす住民と事業者で、3日間で約380人が参加した。が、もともと説明会のきっかけをつくった市民団体の代表が入場を拒まれるなど、「閉鎖的」(近隣住民)との印象は拭えなかった。

事業者代表の三井不動産は東洋経済の取材に対して、イコモスのヘリテージ・アラートへの対応については「検討中」と回答。

また、「対象範囲内に学区が含まれる学校(PTA含む)や、町会および自治会よりご要望いただいた場合には、個別にご説明をさせていただいております」「今後も積極的に情報発信を行い、本計画への理解と共感を得られるよう努めてまいります」とする。

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