「数年ぶり実家はゴミ屋敷」残された子供の後悔 ネズミの糞と獣の臭い、変わり果てた実家

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前述したように、親が亡くなってから実家のモノの多さに慌てる子どもは多い。そこで大切になってくるのが「生前整理」だ。親が亡くなると、死亡届の提出、訃報の連絡、葬儀の手配、年金の受給停止、健康保険や介護保険の資格喪失届など……、膨大な手続きが待っている。それを終えた後に待っているのが、相続だ。とてもじゃないが実家の片付けをしている暇などなく、放置せざるをえなくなってしまうのだ。

「ここでその詳細には触れませんが、葬儀の費用は遺族にとって大きな負担になります。そこで、仮に実家が賃貸でしかもゴミ屋敷やモノ屋敷だった場合、どうなるでしょうか。すぐに片付けることは無理だと思うので、2カ月、3カ月と家賃が延々に発生してしまうんです。そして、本当に多くの人が、“親が亡くなる前に片付けておけばよかった”と悩むんです」

遺品にゆっくり向き合えない

ゴミ屋敷連載
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さらに言えば、これはお金だけの問題ではない。

「お葬式のときってその忙しさから悲しむ時間もないって言うじゃないですか。やることがあまりにも多すぎて悲しめない。それって実はいいことではないと思うんです。実家の片付けも同じで、時間に迫られていたら遺品にゆっくり向き合うことはできません。時間がないというだけで、大切なものまで捨ててしまうことになると思うんです」

モノがなくなった1階(写真:「イーブイ片付けチャンネル」より)
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両親の体調は把握できていても、実家の荷物の量までは把握できていない人もいるはずだ。「モノの量が多すぎる」と気付けたら、片付けられるうちに片付けておくのが理想だ。親は子のために、子は自分のために、早いうちから生前整理を視野に入れたい。

國友 公司 ルポライター

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くにとも こうじ / Kozi Kunitomo

1992年生まれ。筑波大学芸術専門学群在学中よりライターとして活動。訳アリな人々との現地での交流を綴った著書『ルポ西成 七十八日間ドヤ街生活』(彩図社)が文庫版も合わせて6万部を超えるロングセラーに。そのほかの著書に『ルポ路上生活』(KADOKAWA)、『ルポ歌舞伎町』(彩図社)がある。

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