世界への道はパットから

プロゴルファー/青木 功

 昨今、野球もサッカーも随分多くの選手が海外で活躍するようになりました。自分はゴルフでは、その先駆者と言わせていただいてよいかもしれません。ですが、自分たちが切り開いた世界への道に続いてくれる選手がそれほど多くないのが残念、それが正直な気持ちです。
 日本選手のゴルフの技術が世界レベルではないとは思いません。が、「世界へ出る」その気迫を感じられないのです。海外に出て「世界のメジャー大会で大暴れしてやる」このくらいの気概がある選手でないと日本の賞金王にもなれません。日本でプレーをしていながら、虎視眈々と世界への道を見つめている。そんな選手が数多く現れるといいと思うのです。

今年も春先、例年のように国内レギュラーツアーの試合に出てみましたが、日本選手の腕前は世界各国の選手に負けているとは思いません。では、なぜ、日本の選手がメジャー大会で大活躍といかないかというと、難しいグリーンでのパットでしょうね。今年のマスターズがいい例です。石川遼の平均パット、1・65の29位に対して、勝った南アフリカのシュワーツェルは第2位、この差が成績に表れるんです。テレビ観戦をしていた皆さんも、マスターズのグリーンは早くて難しい、そう思った方も多かったんじゃないですか。

オーガスタの510ヤードの13番ホールグリーン手前にクリークがあって、グリーンは左傾斜の易しそうで難しいホールがありますね。あのホールはクリークに向かって順目に芝を刈ってあると思うんですね。下りのパットが怖くて打てないように。でも、芝って本来、芽は順目、逆目がないように刈るんです。
 ご存じのように全英オープンが開かれるコースはすべてシーサイド。日本のコースですと、シーサイドに行くと「目は海に向かって順目です」大体キャディーさんがそう教えてくれます。
 本来芝の芽は空に向かって育つものなんですが、水の流れに負けて低いほうへ持っていかれる。これを全英オープンは目の逆方向から毎日刈るわけです。すると芽はしだいに起きて真っすぐ育つ。メジャー大会は芝を刈ること一つでも注意を心掛けているから、あんなにエキサイティングな試合になり、パットの名手がチャンピオンになるわけです。
 全英の芝が短く刈っても強くたくましいのは、地面が深い砂地で根が深く生えているからなんですが、あえて十分な水を芝に与えないほうが根が長く深く伸びる要因になるんですね。少ない水だと一生懸命吸収しようと根が強く深く長く伸びるんです。芝も立派に育つには、気迫を持って少ない水を吸収すること。その芝をよく知ることが世界への道と思うのです。

アマチュアの方も、パッティングの練習に時間をかけると上達への道と思います。

プロゴルファー/青木 功(あおき・いさお)
1942年千葉県生まれ。64年にプロテスト合格。以来、世界4大ツアー(日米欧豪)で優勝するなど、通算85勝。国内賞金王5回。2004年日本人男性初の世界ゴルフ殿堂入り。07、08年と2年連続エージシュートを達成。現在も海外シニアツアーに参加。08年紫綬褒章受章。
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