厚生労働省の不備も露呈、ユッケ食中毒の悲劇

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 焼き肉業界では目下、熾烈な価格競争が繰り広げられている。その中で、フーズ社は問題の「和牛ユッケ」を280円で提供するなど低価格を売りに店舗網を広げてきた。その結果、食品衛生よりも安さ=利益を優先した可能性がある。トリミングだけでなく、同業他社のような加工場で肉を出荷する前の細菌検査も行っていなかった。

基準を作って事足れりとしてきた厚労省の責任も免れない。同省は事件が発覚してから、ようやく食品衛生法に基づく規制とすることも含め検討すると発表。表示基準を定める消費者庁も、罰則規定を盛り込んだ基準を新設する方針を固めた。

今回の事件の教訓を生かせなければ、業界、消費者ともまた悲劇は繰り返される。

(二階堂遼馬 =週刊東洋経済2011年5月21日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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