顧客の「保留」を呑むお人好し営業は商機を逃す 契約から遠ざかる「言い訳」には納得せず切り返す

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正解は、お客様の言い訳を最後まで聞き、共感の嵐で返してあげることです。

お客様:「じつは、こういうわけで今はちょっと。そうそう、先月あんなこともあって。そんなときに主人がね……。で、こうこうなので本当に厳しいんです」

営業マン: 「えっ、そうなんですか。へえ〜そんなことがあったんですね。それはそれは、本当に大変でしたね。まさかそんなことが! お気持ちよーくわかります!」

営業マンは、これくらいオーバーリアクションで、ジェスチャー含め、しっかり共感を表現する練習をしてください。お客様は「考えたい理由」をつらつら話しますが、いつかは終わります。全力でうなずきながら最後まで聞いてあげましょう。

すると「返報性の法則」が働くようになります。いいことには「お返し」、イヤなことには「仕返し」が発生するという法則です。つまり、営業マンが親身になって話を聞けば、お客様も営業マンの話を聞く姿勢になり、共感しようとしてくれるのです。

突っ込みも怖くない「仕返しモード」

もし、切り返しトークの途中でお客様が突っ込んでくるようなら、自分が先に話の途中で突っ込んだのではないかと疑ってください。返報性の法則は強力ですから、「仕返しモード」もキッチリ発動します。

②1ミリも納得しない

ここで大事なことは、①でどんなに共感しても、絶対に納得しないことです。お客様のよくできた言い訳に、1ミリも納得してはいけません。口では「そうなんですか。わかります〜」、心では「は、だから何なん?」を貫きましょう。なぜなら納得するたびに、営業マンのHPがどんどん削られるからです。結果、本気で切り返せなくなり、売ってお客様の役に立てなくなります。

お客様は平気でこんなことを言ってきます。

「勝手に契約したら、奥さんに離婚されるかも。だから返事は待ってほしい」

「じつは新車を買おうと思っていて、今こんなお金は使えないのよ」

もっともらしく聞こえますが、商談の土壇場で言い出すのはズルいです。最初からわかっていたはずですから。買い手目線の営業マンは、これにコロッと騙されます。

誤解しないでほしいのは、商品が合わなくてお客様が断るのは構いません。ただ、営業マンもアポを取り、時間や経費を使って商談に臨んでいるわけですよね。それに対してお客様が、今更の言い訳で逃げるのはどうでしょうか。

「考えます」に納得するのは、商談を水の泡にするのと同じです。9割のお客様が、断るかフェイドアウトするかのどちらかですから。そこで即決営業では、アポを取る際とプレゼンの直前に最低2回、商談のルールを提示しておきます。

「お話を聞いてみて、気に入らなければ断っていただいても構いません。気に入ったらスタートしてくださいね」

これが「先回り」のテクニックです。「YESかNOか決める前提で話を聞いてね。どっちつかずはNGですよ」と、このルールにお客様を同意させておけば、巧妙な言い訳にも負けません。最終的にルール違反として戦えるからです。

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