住友商事式“年功序列”制度、競争の促進と、きめ細かな指導育成で工夫凝らす

住友商事式“年功序列”制度、競争の促進と、きめ細かな指導育成で工夫凝らす

吉田典史 ジャーナリスト

「すべての社員が同じ時期に一斉に管理職に昇格するわけではない。あくまでキャリアパス制度で求められる要件をクリアすることが前提になる。そのあたりが誤解されている」

 一部メディアで「年功序列制度」復活の象徴として報じられた住友商事。だが、人事部人事チーム長の渡部慎一氏は、自社の人事制度についてこのように語る。

本当に年功序列が復活したのか。

住友商事の“年功序列”の実態と狙いについて探った。

早期選抜よりも社員の底上げ

同社は大学を卒業し、新卒として入社した後、10年間を「育成期間」として位置づけ、その間は、同期社員で昇格の面で差を設けないことにしている。この間は毎月支給される基本給も同じ額となる。

10年間の始めの4年間は「基幹職C級」として、その後6年間は「基幹職B級」とし、主任の扱いとなる。基幹職C級は「商社人として必要な基礎を身に付ける初期教育期間」、基幹職B級は「初期教育期間を終了し、自分の強み・弱みを確認しながらプロの商社人になるための準備期間」となっている。

この10年間を終える頃には、“高い成果を生み出すことができる自責型人材”になっていることを目指すのだという。その後は、「基幹職A級」として管理職になっていく。

渡部氏は、「入社し数年の時点で早期選抜を行うよりも、始めの10年間は社員の力の底上げや、活性化に重きを置くことで会社としての人材力を強くすることを狙いとした」と言う。

ここまでは、入社年次に沿って年功(キャリア)を積み重ねれば、自動的に昇格していく制度に思えなくもない。
 
 しかし、この制度は「誰もが一斉に昇格していく」ものでもなければ、働く側にとって「ぬるま湯」でもない。むしろ、社員らの競争心やモチベーションを刺激し、組織としての力を上げていこうとする仕組みが随所に盛り込まれている。

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