「ゴルフに夢を見る」親が心得ておきたいこと プロを目指すなら、何歳から始めるべき?

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今は第3極の外国人が増えてしまったが。プロゴルフも1980年代ぐらいから「ジュニアゴルフ」を経て(多くが大学卒)入ってくる選手が増えてきた。それまでは、中学卒業後にゴルフ場に研修生として入ってプロを目指す「たたき上げ」が主流だった。最近では宮里藍や石川遼、松山英樹といった「10代トッププレーヤー」も出てきている。

ただ、1980年代当時、ジュニアゴルファーを経てプロになった選手がこう漏らしていたことがある。

「ゴルフを始めてもう20年以上になるし、たぶん、30年ぐらいで疲労しちゃうんだろうな」

現在は、クラブやボールの進化がそうした選手の衰えを補っているため、選手寿命が長くなっているのは確かだが、もしそうした「ゴルフ年齢」があるとすれば、開始年齢は将来に関わってくる。

ゴルフだけではなく教育プログラムも

「ザ・ファースト・ティー」というゴルフを子供たちの「健全な育成」を目指すプログラムがある。20年ほど前に米国で始まり、日本でもNPO法人が今年4月から本格的な活動を開始した。

ただゴルフだけをするのではなく、人格形成など教育プログラムを主として、ゴルフを活用するという方法だ。4月の神奈川県内のゴルフ場での受講料はホームページによると8000円、小学校1年生以上でゴルフの経験は不問。新たな「ジュニアゴルファーの入口」になるかもしれない。

日本プロゴルフ協会(PGA)でも同様の運動を進めようとしている。なんといっても、未来のゴルファー、プロゴルファーをつくることになるからだ。このところのゴルフ界での重要課題、ゴルフ人口の減少に歯止めをかけるにはジュニアの育成も大きな割合を占める。PGAではスナッグゴルフという「遊び」に近いゴルフを全国で体験してもらう活動をしてきた。

その次の段階が「本当のゴルフを経験してもらう」ことだ。倉本昌弘PGA会長は「ファースト・ティーの活動を支援したいと考えている。特にゴルフをする機会のない子供たちに機会を与えたい。新しいゴルファーを増やそうということです」と話している。

冒頭の大会の取材を始めて5年になるが、低年齢の頃に強かった選手は必ずしもそのままその年代のトップを維持して成長していくとはいえないことに気づく。後からやってきた選手たちも徐々に追いつき、追い抜いていくことも多い。体の成長具合にもよる。

「これから子供にゴルフをやらせたい」「子供にゴルフをやりたいと言い出された」というような読者もいるかもしれない。その中で「もう年齢的に無理かな」と思っているかもしれないが、ゴルフを始める年齢は、個人的には15歳以下であれば、あまり気にしなくてもいいのではないだろうか。

10代で花開く選手もいれば、藤田寛之のように40代になってからますます強くなった選手もいるからだ。逆に20代で燃え尽きる選手もみている。年齢で諦める必要はなく「始め方」の方が大切だ。

赤坂 厚 スポーツライター

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あかさか あつし / Atsushi Akasaka

1982年日刊スポーツ新聞社に入社し、同年からゴルフを担当。AON全盛期、岡本綾子のアメリカ女子ツアーなどを取材。カルガリー冬季五輪、プロ野球巨人、バルセロナ五輪、大相撲などを担当後、社会部でオウム事件などを取材。文化社会部、スポーツ部、東北支社でデスク、2012年に同新聞社を退社。著書に『ゴルフが消える日 至高のスポーツは「贅沢」「接待」から脱却できるか』(中央公論新社)。

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