「二酸化炭素25%削減」は取り下げるな、今こそ長期ビジョンを示せ

「二酸化炭素25%削減」は取り下げるな、今こそ長期ビジョンを示せ

「原発は地球温暖化対策の隠れた主役だった」と政府関係者は認める。東京電力福島第一原子力発電所の事故は、放射能汚染や電力供給不安だけでなく、地球温暖化対策へ大きな影を投げかけている。

政権交代が実現した直後の2009年9月、当時の鳩山由紀夫首相が国連の場でCO2の「1990年比25%削減」を国際公約した。政府は地球温暖化対策基本法案の中で、環境税、再生可能エネルギー全量買い取り制度、国内排出量取引制度を「25%減」への3大施策と位置づけている。

しかしその一方、政府が昨年公表したエネルギー基本計画では、30年までに温暖化ガスを90年比で30%削減する目標を掲げたうえで、柱として全国に14基以上の原発を新増設する計画を打ち出していた。また、原発の稼働率も定期検査短縮などで現行より25ポイント引き上げ90%にする方針だった。経済産業省では、原発稼働率が4%向上すれば温暖化ガス排出量が1%減ると試算する。

海外でも事情は同じだ。米国ではオバマ大統領が再生可能エネルギーへの巨額投資や電気自動車などの普及を核としたグリーンニューディール政策を打ち出す一方で、約30年間凍結してきた原発の新規着工容認に転じ、現在24基の新設計画がある。

22年までの原発全廃を義務づけた「脱原発法」を持つドイツでさえ、昨年同法を改正し17基ある原発の稼働年数を延長させる方針を決めていた(東日本大震災後計画は白紙に)。いずれも、原発はクリーンエネルギーとして地球温暖化防止に有効とする「原発回帰」の動きが背景にある。

「原発推進一辺倒」の背景

これまでの環境政策において、温暖化ガス削減と原発を直接関連させ論じることはタブーだった。しかし、09年12月の第15回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP15)以降、原発こそが温暖化対策の切り札とする論調が目立つようになる。

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