2023年上半期「売れた商品トップ30」中国・四国版 前年比で大きく「煮干し」が伸長した事情は…

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2022年に減少が目立ったのが、地域で有名な伊吹島産のいりこ。漁獲量が減少傾向にあったが、その傾向が2022年に顕著だったようだ。2023年の販売金額の伸びには、値上げの影響が見て取れた。背景として、不漁による品薄に加えて燃料費の高騰も挙げられる。

また、6位の液体だしは他の地域では北海道産の昆布だしに牽引され伸長していたが、中国・四国では2019年比105.1%(全国差-60.2ポイント)と伸び悩んだ。煮干し文化の強い地域性から、昆布だしが定着しにくかったのだろうか。

中国・四国で「売り上げが落ちた」商品の顔ぶれ

続いて、販売金額が落ちたもののランキングを確認したい。

3位のしわ取り剤は、前年比が77.7%(全国差-5.1ポイント)と全国よりも大きく落ち込んだ。ただし、2019年比では104.6%(全国差+32.4ポイント)とコロナ禍に市場が成長していることが見て取れる。市場成長の起爆剤となったのが、2021年春に発売されたスプレータイプの新商品。しわ取りだけではなくウイルス除去の効果などもあると訴求したもので、中国・四国で特に販売が伸びたようだ。

そのほか2019年比で全国よりも伸びが目立ったのが、5位のオートミール1986.7%(全国差+844.2ポイント)と26位のダイエット食品131.7%(全国差+39.4ポイント)だ。

オートミールにいたっては、2019年と比べて20倍近くにまで市場が成長しており、驚異的な伸びと言える。オートミールは、食物繊維が豊富で健康・ダイエットへの効果が期待されるだけではなく、電子レンジで温めるだけで主食の代わりに食べられる簡便さも人気となった。関東版ランキングで紹介したとおり、成長前の市場が関東中心であったため、中国・四国で伸びる余地が大きかったのだろう。

ダイエット食品でコロナ前に人気だったのは、インバウンド需要に支えられていたサプリメントタイプ。市場は関東や近畿が中心だった。コロナ禍にインバウンド需要が縮小する中で伸びが見られたのが、プロテインやコーヒーなど食生活に取り入れるタイプのダイエット食品だ。コロナ前にインバウンド需要関連のダイエット食品の市場が限られていたため、中国・四国では市場が伸長しやすかったものと見られる。

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