米家電「シャークニンジャ」が繰り出す次の一手 大ヒットしたハンディークリーナーは模倣品が続出

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サメに似たデザインのハンディークリーナーを販売し、1999年に「Shark」ブランドを立ち上げ、そこからフロアケア製品を拡充した。2010年にはユニークで実用的なブレンダーを「Ninja」ブランドとして販売し、コーヒーメーカーやマルチクッカーなどの調理家電も次々に発売。「Shark」と「Ninja」ブランドがそれぞれ北米で浸透したことから、2015年に社名をShark Ninjaと改名して、現在に至る。

日本独自のニーズを徹底的に研究

日本には2018年に「シャークニンジャ」として上陸し、販売を開始する。日本で販売する製品に関しては、日本独自の掃除シーンやニーズを日本で徹底的に研究し、ローカライズしていることが特徴だ。上陸当時に取材したことがあるが、単に北米で販売している製品をそのまま日本で売るのではなく、日本の生活シーンでとくに重視されるサイズ感や使い勝手、お手入れのしやすさを調査しながら日本のユーザー好みに合わせているという話を聞いた。

大ヒットしたハンディークリーナー「EVOPOWER」。模倣品が多数発売された(筆者撮影)

先に発売したのはコードレススティッククリーナーだが、2018年に発売したコードレスハンディークリーナー「EVOPOWER」が日本で大ヒットとなり、シャークニンジャは一躍有名になった。

当時、ハンディークリーナーはそれほど注目されている家電ではなかった。ダイソンを中心に、コードレススティッククリーナーが大人気で、日本のメーカーも競うように新しいコードレススティッククリーナーを発売していたころだ。

「EVOPOWER」は、狭い場所でも使い勝手がよく、吸引力が高い。棚やソファ、布団などをパッと掃除できるハンディークリーナーだ。また、「映えるデザイン」も受け入れられた大きな要因の1つだ。

一見掃除機には見えず、出しっぱなしにしていてもインテリアを損ねることがない。お手入れ面でも考えられており、ボタンを押すだけでパッとゴミを捨てられる。床だけではなく、部屋中を手軽に掃除できる手軽さがきれい好きな日本人に受け入れられた。このヒットを受けて、そっくりな模倣品が他社から続々発売されるほど、当時は業界にインパクトを与えた。

注目されていなかったハンディークリーナーの需要を掘り起こしたシャークニンジャだが、同社が発売したコードレススティッククリーナーは、ハンディークリーナーほどの大ヒットにはなっていない。コードレススティッククリーナーの中で後発としては健闘しており、一部ユーザーからは高い支持を得ているものの、一般的には認知度が高いとは言えないだろう。

そんなシャークニンジャが、新たに挑戦する分野は「美容家電」。9月にユニークなドライヤーが発売される。

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