できる管理職に「メール高速返信」が必須な理由 チームのスピード感を高める「仕事の習慣」

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もちろん、四六時中受信ボックスを眺めている必要はありません。大切なことは、どのような頻度でチェックしたとしても、「開いたメールにはその場で返信する」ということです。

ただ、私の経験上、仕事ができる人からは、おおむね3時間以内には返信があります。仕事や会議、移動の合間に、最低でも3時間に1回はチェックして、その場で返信しているからです。

相手の時間を大切にするからこそ待たせない

高速返信は相手を尊重する気持ちの表れでもあります。30代で米国系証券会社のマネジング・ディレクター(執行役員格)になったAさんから、「相手を大切に思えば、待たせることなんてできないんですよ」と聞きました。

できるだけ早く返信するという行動の根底には、相手の時間を無駄にしないという気持ちがあるのです。そのような気持ちが行動を通して部下や顧客に伝わると、単にスピード感のある人というだけでなく、自分を大切にしてくれる人、信頼できる人だと思ってもらえ、仕事は加速度的にやりやすくなります。

逆に返信が遅いと、相手を不安にしたり無視されていると思われたりします。顧客にやっと返したメールに「遅くなって申し訳ありません」の一文を書き忘れただけで、内容に関係なく失礼な人だと思われてしまうことさえあります。

高速返信は、相手を大切にしたいという気持ちが根底にあることで、結果的に良き関係づくりにもなっているのです。

自ら高速返信でスピード感を示すことでチームの仕事に勢いがつき、やがて部下たちも高速返信の習慣が身についてきます。チーム全体として、意思決定のスピードが上がってくるのです。

仕事は原則として、「決めて実行する」ことの繰り返しです。迅速に決めて迅速に実行することが当たり前になってきたチームが、スピード感のあるチームです。

櫻田 毅 人材活性ビジネスコーチ

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さくらだ たけし / Takeshi Sakurada

アークス&コーチング代表。九州大学大学院工学研究科修了後、三井造船で深海調査船の開発に従事。日興證券(当時)での投資開発課長、投資技術研究室長などを経て、米系資産運用会社ラッセル・インベストメントで資産運用コンサルティング部長。その後、執行役COO(最高執行責任者)として米国人CEO(最高経営責任者)と共に経営に携わる。2010年に独立後、研修や講演などを通じて年間約1500人のビジネスパーソンの成長支援に関わる。近著に『管理職1年目の教科書』(東洋経済新報社)がある。

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