この資格があれば子育て中もバリバリ働ける ベンチャー2社が新しい仕掛け

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そこで、ペースダウンして働く道を探った結果、月曜日は半日、聖路加の専門外来で診察、火曜日は横浜のクリニックに勤務、水曜日は病院で研究活動、木曜日はフリー、金曜日は研究室で打ち合わせや指導を受けるといったスケジュールで動き始めた。

出産直後のタイミングにぴったり合う内容でした

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Doctors Me医師とのやりとりの様子

研究室というのは、「今後のキャリアを考えた学位取得と、子育てをしながら自分のペースで進められる研究をする機会に巡り合った」ことから、研究機関に通うことになったからだ。融通が利く日を多く作ったが、その分収入は減る。そうした中で偶然見つけたのが「ドクターズミー」(Doctors Me)だった。

ドクターズミーはサイバー・バズが手掛ける医療相談サービス。医師を軸に薬剤師、栄養士、心理カウンセラーなど約400人の専門家をネットワーク化、ユーザーは健康や性、育児に関することなど、なかなか他人に相談しにくい悩みや相談を専門家に直接聞くことができる。時間は9時から24時までで、回答までの時間は平均30分。現在、月間のアクセス数800万PV、ユニークユーザー数150万。質問件数は1500程度だ。ユーザーの約7割が女性で10代後半から30代前半が中心層となっている。

もともとこのサービスは、ヘルスケア領域で新事業を模索していたときに、子どもが生まれたばかりの社員が『赤ちゃんのことをドクターに気軽に相談できたらいいのに』と思ったのがきっかけで誕生した。

その社員や高村彰典社長の個人的なつてをたどって医者に打診していく

アライアンスに積極的に取り組んでいるサイバー・バズの高村彰典社長

うちに、「産休中だから手伝いますよという女性の医者と出会ったんです。それがきっかけで、一定の時間に待機してもらってユーザーからの質問に答えてもらい、時給を払う仕組みを構築しました」(高村社長)。医師の約半分が子持ちの女性だが、「開業医が副業として取り組むケース」もある。

前出の中川さんは、求人サイトでドクターズミーの募集を見つけたときに「これは魅力的だ」とピンときたという。1ターム3時間(当時、現在は5時間)の時間であれば、捻出することは比較的容易だ。「子どもに関するママの質問が多いとあったので、『私、ママの質問ならなんでも答えられるかも』と思いました。今から振り返ると、産後の時期に、無理のないペースで仕事と育児の両立をさせていただけた感じです」

「こうしたサービスが支持される背景には、専門家に聞きたいというニーズが高まっていたことが挙げられる。口コミサイトには、いいことと悪いこと、両方の見解が書かれてあり、結局どうなのか判断しにくいことも多い。個人が回答している場合には、信頼性への疑問が拭えないものもある」と高村彰典社長。ライフネット生命やピジョンと法人契約を結び、それぞれの契約者や利用者にドクターズミーのサービスを提供しているほか、3月からはヤフー知恵袋に投稿された健康・病気に関する質問にドクターズミーの医療専門家が回答する取り組みも始まった。今後もドクターズミーで得たノウハウを生かし、専門家によるキュレーションサービスを推進する方針だ。

高橋 志津子 東洋経済 記者

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たかはし しづこ / Shizuko Takahashi

上智大学法学部国際関係法学科卒。東洋経済新報社に入社後は、会社四季報、週刊東洋経済、ムック、東洋経済オンラインなどさまざまな媒体で編集・執筆を手掛ける

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