2023年上半期「売れた商品ランキング」九州版 インバウンド需要関連の商品が上位に並ぶ

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また、13位の鎮暈剤(酔い止め薬など)は、前年比134.8%(全国差+8.9ポイント)と全国よりも大きく伸長。コロナの感染が落ち着き、旅行需要で伸びた商品だ。都市部と比べると鉄道網が限られ、車やフェリーなど酔いやすい乗り物で移動することが多いことから大きな伸びが見られたと考えられる。

九州で「売り上げが落ちた」商品の顔ぶれ

続いて、販売金額が落ちたもののランキングを確認したい。

前年比で全国よりも落ち込みが大きかったのが5位の液体だしで、86.4%と全国よりも53.2ポイントも小さい。液体だしは全国では前年比139.6%と売れたもの9位に入っていた。

液体だし市場を牽引したのは北海道産の昆布だしで、家でも手軽に本格的なものを味わいたいという需要が高まったことを背景として、市場が急拡大していた。九州でも2022年にかけて市場が成長していたが、2023年上半期には反動で減少している。あごだしや煮干しだしなど地域に根付いた独特のだし文化のある九州には、昆布だしの商品が定着しにくかったのだろうか。

2019年比に着目すると、11位の玩具メーカー菓子が137.9%と全国よりも40.4ポイントも小さい。コロナ禍における玩具メーカー菓子の市場成長が九州では限られていたと見られる。

コロナ前の2019年上半期では、九州の玩具メーカーの国内金額シェアは16.1%と関東と近畿に次ぐ規模となっていた。出生率が高く子供が多いためか、九州では市場が活況だったようだ。元々の市場の大きさが、コロナ禍に市場の伸びが緩やかとなった一因と言えるだろう。

ところが、九州のシェアは2023年上半期には12.4%まで減少している。関東版のランキングで紹介したとおり、玩具メーカーのブームは関東でとりわけ強く見られた。ブームの特徴として、アニメのファンとなった大人による購入が市場を成長させたことが挙げられる。こうした動きが、地理的に都市部から離れており、関連イベントの限られる九州では弱かったのかもしれない。

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