需要減が止まらないコメ、価格上昇へ奇策 最安値を更新したコメ価格、TPPの影響は?

拡大
縮小
米国産価格は国産よりも高く、TPPによる輸入枠拡大の影響は軽微か。(写真:m・o/ PIXTA)

コメの価格が過去最安値を更新している(下図)。農林水産省が発表した2015年3月のコメの価格(全国農業協同組合連合会など、出荷団体と卸売業者の取引価格)の全銘柄平均は60キログラム当たり1万1943円。前年同月比17%減となった。

価格下落の原因は、2014年産米の供給過剰だ。作柄のよしあしを示す農水省作況指数は平年並みだった。が、収穫量が需要見通しを上回ったため、価格下落につながった。

コメの需要は1996年から2割近く減少

日本のコメの需要量は、2013年産米(2013年9月~2014年8月)で786万トン。1996年産米の需要量943万トンと比較して2割近く減少した。需要減の原因は食生活の変化や高齢化、人口減など。コメの1人当たり年間消費量は2013年度56.9キログラムで、ピーク時の1962年から半減している。

3月に発表された2015年産米の需要見通しは770万トンとさらに減少する見込みだ。

コメ相場の下落は流通業界にどのような影響をもたらすのか。スーパー大手は「今までできなかった高い銘柄も特売ができるようになった」と話す。ただ、「安くなっているからといって販売数量が伸びる商材ではない。売り上げとしては厳しい」と言う。

コメを原材料とするメーカーはどうか。米菓大手・亀田製菓は「製造原価が安くなり好影響。昨年から国産米の使用比率を引き上げている」と話す。

次ページ牛丼チェーンへの影響は?
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT