池袋が7位、山手線「駅利用者回復」ランキング 「北半分」が健闘、コロナ禍前比で際立つ地域差

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次いで2位は西日暮里駅(荒川区)で、回復率は84.5%。以下3位は駒込駅(豊島区)、4位巣鴨駅(同)、5位大塚駅(同)と比較的規模の小さな駅が続く中、7位には全国屈指のターミナルであり、JR東日本管内で乗車人員2位の池袋駅(同)がランクインした。回復率は82.1%で、新宿や東京などほかのターミナル駅が軒並み7割台にある中での「快挙」だ。

一方、最下位は品川駅(港区)で、65.9%とコロナ前から3割以上減った状態だ。とくに定期客の回復率は56.7%と低く、定期外客が8割近くまで回復しているのに対して低迷が続いている。同駅に次いで回復率が低いのは隣の大崎駅(品川区)で66.9%、その次も品川から2つ目の田町駅(港区)で68.8%。下位6駅は定期客の回復率がいずれも65%以下で、通勤利用者がなかなか戻らない状態が見て取れる。

テレワークの浸透率を反映か

回復率上位10駅の特徴は、すべて山手線の「上半分」、北側の新宿―上野間に集中していることだ。一方で、下位の10駅は品川付近を中心に南側にある。

これはテレワークの普及率に関係しているとみることができる。東京都の「テレワーク実施率調査結果」(2022年10月)によると、同月時点の都内企業(従業員30人以上)のテレワーク実施率は54.1%。地域別のデータはないが、従業員規模別では300人以上の企業は実施率67.9%と高いのに対し、100~299人の企業は58.5%、30~99人の企業は49.3%と低く、テレワークの普及は従業員数の多い大企業が中心であることがわかる。

一方、東京都産業労働局の「東京の産業と雇用就業2022」掲載の資料によると、都内の企業数に占める中小企業の割合は98.8%で、23区は98.5%(2016年度)。中小企業の定義は業種によって異なるが、例えば製造業は資本金3億円以下または従業員300人以下、サービス業は資本金5000万円以下または従業員100人以下などだ。乗車人員の回復率が高い山手線の北側にあたる豊島区、北区、荒川区はいずれも中小企業の比率が99%を超えており、テレワーク実施率が低い従業員数の少ない企業が多いと推測できる。一方で南側にあたる千代田区、港区は中小企業の比率が95%台、品川区も97.4%で、相対的にテレワークの実施率が高い大企業が多い地域といえるだろう。

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JR東日本は、乗車人員がとくに多い上位100駅を「ベスト100」として公開しており、2022年度は山手線の30駅中26駅が100位内にランクイン。圏外だったのは田端・目白・鶯谷・高輪ゲートウェイの4駅のみで、同線が乗り入れる各駅の利用者がいかに多いかがわかる。山手線の駅乗車人員の増減は、都市の変化をリアルに映し出しているといえるだろう。

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