スバル、米国生産も表明「EV新戦略」に漂う唐突感 2030年にEV比率5割を掲げたが具体性に疑問符

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これについて技術畑出身でもある大崎社長はモノづくり革新に注力するとし、「開発日数、部品点数、生産工程を半減させ、世界最先端のモノづくりを成し遂げる。リレー式で進めてきた生産工程をアジャイルに進める」と説明する。

技術系の大崎社長。車載電池の調達や生産コストの削減などEVシフトを加速するための具体的な施策の提示が求められている(撮影:今井康一)

しかし、工程の効率化はEVに限らず、スバルを含む各自動車メーカーが長らく追求していることで、いわば一般論だ。

求められる具体的策の提示

東海東京調査センター・シニアアナリストの杉浦誠司氏は、「トヨタはそのためにギガキャスト(別々に造って繋ぎ合わせていた車体パーツを、1つの大きなアルミ部品として造ることで工程を大幅に減らす鋳造方法)をやると言っているのに対し、スバルからは工程をどう半減させるかといった具体的な話が全然なかった。全体的に今回のスバルの説明は中身がなく、付け焼き刃という印象だ」と首をかしげる。

スバルのPBR(株価純資産倍率)は0.9倍台前半で、解散価値とされる1倍を割り込む。EVへの対応への遅れや懸念が重石となり、市場評価は伸び悩んでいる。

今回、高々と掲げたEV関連の目標や計画を”絵に描いた餅”としないための方策を進めていくことはもちろん、その実現性について市場の理解や納得を得られるような中身のある説明をしていくことが求められる。

奥田 貫 東洋経済 記者

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おくだ とおる / Toru Okuda

神奈川県横浜市出身。横浜緑ヶ丘高校、早稲田大学法学部卒業後、朝日新聞社に入り経済部で民間企業や省庁などの取材を担当。2018年1月に東洋経済新報社に入社。

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